【糖質の新常識】糖質制限はもう古い 今日から糖質を味方に変える 糖尿病を遠ざけていく

健康

 

 

 

 

目次

はじめに

 私たち日本人の食生活を振り返ると、無意識のうちに糖質を摂りすぎています。

 

 

 「ご飯を食べなければ元気が出ない」「主食はやっぱりお米」といった思い込みから、朝食のパンやご飯、お昼の丼ものや麺類、そして、夜のご飯やお菓子まで、気づけば一日中糖質を摂取している「糖質過多」の状態になっている人が少なくないのです。

 

 

 現代の食生活は便利で美味しいものがあふれていますが、その分、糖質の摂取量も増えがちになっています。

 

 まずは、自分がどれくらい糖質を摂っているのか「見える化」することが、健康的な食生活への第一歩となり、これから一緒に、日々の食事を振り返りながら、糖質とうまく付き合うためのポイントや対策を考えていきましょう。

 

 

 

 

まずは糖質のことを整理しよう

 

 

 知っているようで知らない糖質のこと、研究が進み、以前の知識も今では変わり真逆になっていることも珍しくはありません

 

 

 今では減量で用いられる「糖質制限」ですが、言葉だけが一人歩きをしてしまい、糖質をゼロに近づけて体に悪影響を及ぼしている方も

 

 

 糖質がいつの間にか悪者になっており、糖質を摂るか、摂らないと極端な考え方に変わってしまうのです。

 

 

 まずは、糖質のことをしっかりと理解して、今後の減量や病気の対策や改善に活かしていきましょう。

 

 

ダラダラ食べをやめていく

 

 

 ついつい口が寂しくなって、飴やクッキー、せんべいなどをつまんでしまう「ダラダラ食べ」テレビを見ながら、家事の合間になんとなく手が伸びてしまいます。

 

 

 これが積み重なると、知らぬ間に体に大きな負担をかけてしまい、とくに糖質が含まれるお菓子は、血糖値を急上昇させやすく、インスリンの分泌を何度も繰り返す原因になります。

 

 

 通常、糖質を摂ると食後1時間で血糖値がピークに達し、その後2時間ほどで低下していきます。

 

 

 ところが、この急上昇と急降下が繰り返されると、体は「血糖値が下がって危険」と勘違いし、空腹を感じやすくなってしまうのです。

 

 

 10時・15時・20時といった時間帯に小腹が空くのは、朝昼夜の食後に起きる血糖値の乱高下の影響、実際には胃の中にはまだ食べ物が残っており、2〜3時間では完全に消化されていません。

 

 

 それにもかかわらず、空腹感に負けて何かを口にしてしまう。このサイクルがダラダラ食べの正体です。

 

 

 また、食べるたびに分泌されるインスリンは、血糖値を下げるだけでなく、脂肪をためこむ働きもあるので、ダラダラと間食を続けることは、常にインスリンを分泌させ続け、肥満体質を招く原因になるのです。

 

 

 口が寂しいときほど水やお茶を飲む、間食は時間を決めるといった工夫で、無意識のダラダラ食べを見直していき

 

 

 食事と食事のあいだには、しっかりと時間を空けて胃腸を休ませることが、体のリズムを整え、血糖値の安定にもつながっていくのです。

 

 

糖質と脂質は肥満セットに

 

 

 「体重を減らすには、まずカロリー制限から」と考える方は少なくなく、カロリーを抑えることは基本の一つですが、単純に摂取カロリーを減らすだけでは、健康的な減量にはつながりません。

 

 

 カロリー制限では、糖質・タンパク質・脂質といった三大栄養素の量を計算し、1日を通して一定の摂取量に調整していきますが、実際に多くの人が太ってしまう原因の大半は、「糖質の摂りすぎ」にあります。

 

 

 ここで問題なのが、「糖質を控えていれば、脂質はたくさん摂ってもいい」と誤解してしまうことです。

 

 

 確かに糖質制限中は、ある程度脂質を摂取しても大丈夫とされる場合もありますが、だからといって何でもかんでも脂質を多く摂るのは危険になります。

 

 

 注意が必要なのは、糖質と脂質がセットになっている食品で、ラーメン、丼物、カレー、ジャンクフード、ポテトチップス、ケーキなどが代表的になっています。

 

 

 これらの食品は、糖質と脂質の組み合わせにより、食欲が異常に刺激され、脂質だけではそれほど量を食べられないのに、糖質と合わさることでどんどん食べ進めてしまうのです。 

 

 

 この「」の組み合わせによって余分なエネルギーが体内に蓄積され、結果として脂肪となって体にたまってしまいます。

 

 

 肥満を防ぐためには、単にカロリーだけを見るのではなく、糖質と脂質のバランスを見直していき、糖質と脂質をセットを減らし、栄養素を分けて意識的に摂取することで、過食を防ぎ、無理なく体重管理ができるようになるのです。

 

 

果物の摂りすぎも肥満のもとに

 

 

 果物は、ビタミンCやカリウム、食物繊維など、現代の食生活で不足しがちな栄養素を補う優れた食品になり、シニア世代にとっては、毎日の食事で手軽に栄養を取り入れられる果物は、体の調子を整えるうえで大きな味方にもなってくれます。

 

 

 しかし、「体にいいから」といって果物を食べすぎてしまうと、思わぬ落とし穴にはまることがあり、それは果物に含まれる「果糖(フルクトース)」の影響になります。

 

 

 果糖は糖質の一種で、ブドウ糖とは異なり、血糖値を直接上げにくい特徴がありますが、その代わり、肝臓で代謝され脂肪になりやすいという性質があります。

 

 

 また、近年の果物は品種改良によって糖度が高くなっており、昔に比べて甘さを増し、昔のリンゴやみかんに比べると、現代のフルーツはひとつ食べるだけでかなりの糖質を含んでいます。

 

 

 現代の糖質が多い食生活の中で、甘い果物を多く摂ってしまうと、知らぬ間に糖質の摂取量が過剰になり、脂肪として蓄積されやすくなってしまうのです。

 

 

 気をつけるのが、スムージーや市販の野菜ジュース

 

 

 健康によさそうに見えますが、果物を大量に使っていたり、砂糖が加えられていたりと、糖質がとても多く含まれ、液体で摂ると吸収も早く、満腹感が得にくいため、肥満のリスクも上がるので、注意をしていきましょう。

 

 

スポーツドリンクも常用すると危険に

 

 

 のどが渇いたときや暑い季節に、つい手に取りたくなるスポーツドリンク、汗をかいた後の水分補給に適しているイメージがありますが、日常的に飲み続けると、健康に大きな悪影響を及ぼしてしまいます。 

 

 

 スポーツドリンクには、吸収を早めるためにブドウ糖や果糖などの糖分が多く含まれ、一気に飲むと血糖値が急上昇し、体はそれを薄めるために水分を排泄しようとします。

 

 

 その結果、尿量が増え、また喉が渇くという“負のループ”に陥ってしまい、さらに、糖の摂取と排泄を繰り返すことで、インスリンの働きが乱れ、血糖コントロールが効かなくなってしまう危険性があるのです。

 

 

 このような状態が続くと、インスリンの働きが低下し、ブドウ糖をうまくエネルギーに変えることができなくなり体はエネルギー不足に、さらに、甘い飲み物や食べ物を欲するようになります。

 

 

 最近では、このような状態に陥る「ペットボトル症候群(清涼飲料水ケトーシス)」が若者から中高年層まで拡大、糖分の多い飲料を頻繁に飲むことで、血糖値が常に高い状態になり、糖尿病の発症や悪化につながっているのです。

 

 

 水分補給はとても大切ですが、基本は水やお茶を飲んでいき、運動後や発汗が多いときは、塩分やミネラルを含む補水液を選ぶとよいですが、糖分の多い飲料を常用するのは避けていき、甘い飲み物は、あくまで“たまの楽しみ”としてとらえましょう。

 

 

糖質は三大中毒の一つに

 

 

 「甘いものをやめたいのに、どうしても我慢できない」「食後のデザートがないと落ち着かない」 これは単なる“好み”ではなく、糖質依存の可能性があります。

 

 

 私たちが日常的に摂っている糖質は、アルコールやニコチンと並ぶ「三大依存性物質」のひとつに上げられています。

 

 

 糖質を摂ると脳内では“快楽ホルモン”とも呼ばれるドーパミンが分泌され、心地よさや幸福感を感じ、ケーキや菓子パン、砂糖入りの飲み物などは、短時間で脳に強い刺激を与えるため、繰り返し欲しくなってしまうのもこのためです

 

 

 この快感は一時的なもので、すぐに消えるのですが、この快感を再び脳が欲してしまい、また甘い物を口にしてしまうという悪循環が生まれてしまいます。

 

 

 糖質を摂ると血糖値が急上昇し、インスリンによって急降下、この“血糖値の乱高下”が続くことで、体も心も不安定になり、ますます糖質への依存が強まっていくのです。

 

 

 シニア世代になると、若い頃に比べて代謝が落ちているため、糖質の過剰摂取は体脂肪の蓄積や生活習慣病のリスクを高める原因になりやすく

 

 

 依存に陥っている場合、「やめよう」と強く意識するほど、反対に欲求が強まることもあり、無理な我慢はかえってストレスを招いてしまうのです。

 

 

 大切なのは、糖質の摂取を完全にゼロにすることではなく、“質”と“量”を見直すことで、自然な甘さを含む果物や、食物繊維の多い食品をうまく活用し、血糖値の急上昇を防ぎながら、ゆっくりと欲求をコントロールしていき依存から抜けだしましょう。

 

 

糖質は体の中から老化を加速する

 

 

 「糖質はエネルギー源だから大切」と思っていても、摂りすぎた糖質は、私たちの体の内側から老化を進めてしまう“糖化”という現象を引き起こします。

 

 

 糖化とは、体内で余分な糖が体のタンパク質と結びつく反応のことを指し

 

 

 糖質を必要以上に摂取すると、使われなかった糖が体内に残り、体温によって温められてタンパク質と結びつき、最終的に「AGEs(糖化最終生成物)」と呼ばれる老化物質が発生するのです。

 

 

 このAGEsは、体にさまざまな悪影響を及ぼし、肌のハリや弾力を保つコラーゲンというタンパク質が糖と結びつくと、シミ、しわ、たるみといった肌老化の原因になります。

 

 

 また、骨を支えるタンパク質が糖化すると、骨の強度が低下し、骨粗鬆症のリスクが高まるのです。

 

 

 さらに、AGEsは血管や神経にもダメージを与え、糖尿病の進行や、脳内のタンパク質と結びつくことで認知症のリスクも高まるとされています。

 

 

 つまり糖質の摂りすぎは、単なる体重の問題にとどまらず、肌、骨、脳、内臓など、全身の老化を早めてしまうのです。

 

 

 糖化は年齢とともに進みやすくなりますが、食生活の見直しによって進行を緩やかにすることは可能で、シニア世代は必要以上の糖質を避け、血糖値を急上昇させない食べ方を心がけていきましょう。

 

 

糖質の量は年々増加傾向に

 

 

 近年、私たちの食生活において糖質の摂取量が年々増えている傾向が見られ、シニア世代では、この糖質摂取量の増加が顕著です。

 

 厚生労働省の調査によると、60代以降の年代では1日あたりの果物の摂取量が大きく増えており、20〜30代と比べて菓子や果物を食べる頻度も高くなっています。

 

 

 その背景には、定年後などで時間にゆとりができ、テレビを見ながらの間食や、食後のおやつが習慣化しやすくなることが挙げられます。

 

 

 とくに果物や和菓子、煎餅など「ヘルシーだから」と安心して食べているものにも、多くの糖質が含まれており、積み重なると1日の糖質摂取量が大幅に増えてしまうのです。

 

 

 若い頃と違い、年齢を重ねると基礎代謝や活動量は減少し、体を動かす機会が少ない状態で糖質を多く摂ると、消費されないエネルギーが余り、脂肪として体に蓄積されます。

 

 

 さらに、血糖値の上昇が続くと、インスリンの働きが弱まり、糖尿病のリスクも高まるのです。

 

 

 それだけでなく、血糖値の乱れは免疫力の低下にもつながり、風邪を引きやすくなったり、感染症が重症化しやすくなるなど、日々の体調にも影響を及ぼし、生活習慣病や動脈硬化、認知症など、さまざまな重病の入り口にもなりかねません。

 

 

 糖質の摂りすぎに気づき、量の見直し、間食の回数や量、果物の種類やタイミングなどを少し工夫するだけでも、糖質過多を防ぎ、健康的な毎日を送ることができるのです。

 

 

糖質ゼロ商品を過信しすぎない

 

  

 糖質制限の広がりとともに、最近では「糖質ゼロ」「糖質オフ」「低糖質」といった表示の商品をよく目にするようになりました。

 

 

 スーパーやコンビニ、飲食店のメニューまで、まるで糖質を避けることが“正解”であるかのような雰囲気さえ感じられますが、こうした「糖質ゼロ商品」に頼りきってしまうことには注意が必要です。

 

 

 実際には、これらの多くの商品に「人工甘味料」が使われていることが少なくなく、代表的なものにアスパルテーム、アセスルファムK、スクラロースなどがあります。

 

 

 これらは甘味が強く、血糖値を上げにくいことから糖質制限に向いているとされていますが、その安全性についてはまだ多くの疑問が残されています。

 

 

 人工甘味料は体内での代謝の仕方が通常の糖とは異なり、腸内環境への影響や長期的な摂取によるリスクが心配され、現時点では明確な有害性が断定されているわけではありませんが、「安全」とも言い切れないグレーゾーンにある物質なのです。

 

 

 また、人工甘味料には中毒性があるとも言われ、一度その強い甘さに慣れてしまうと、さらに甘い味を求めるようになり、本来の「控える」という目的から遠ざかってしまうこともあるのです。

 

 

 結果的に、余計に糖類や甘いものへの欲求が強くなり、糖質制限が逆効果になることすらあるので注意が必要になります。

 

 

毎日1日3食に拘らない

 

 

 「1日3食きちんと食べないと体に悪い」と思っている方は少なくありません。

 

 

 長い間、学校や家庭で「朝・昼・晩の3食を必ずとることが健康の基本」と教えられてきたため、その習慣が染みついているのです。

 

 

 しかし、食事は本来、自分の体調や活動量に合わせて調整するのが理想になり、無理に3食を守ろうとして、かえって体に負担をかけてしまいます。

 

 

 あまり動かない日や、前の食事がまだ消化しきれていないと感じるのに「いつもの時間だから」と無理に食べてしまうと、胃腸に負担がかかり、消化不良を起こしてしまいます。

 

 

 さらに余分なエネルギーを摂取することで、体脂肪が蓄積されやすくなり、肥満の原因になることも少なくありません。

 

 

 また、空腹を感じていないのに食べることで、血糖値も本来のリズムを乱してしまい、食後は血糖値が上昇し、それを下げるためにインスリンが分泌されていきます。

 

 

 必要のないタイミングでこのサイクルを繰り返すと、血糖値の急上昇・急降下が頻発し、体の中でさまざまな不調を招きやすくなるのです。

 

 

 シニア世代は、若い頃に比べて活動量や基礎代謝が落ちているため、昔と同じように1日3食をきっちり食べ続けていると、エネルギーが余りやすい傾向も見られます。

 

 

 無理をせず、体のサインに耳を傾け「お腹が本当に空いたときだけ食べる」意識を持つことが、胃腸を休め、血糖値を安定させ、内臓脂肪の蓄積を防ぐことが重要なのです。

 

 

 毎日の食事を見直すときは、3食にこだわらず、自分の生活リズムや体調に合わせて食事回数を調整してみましょう。

 

 

お酒は脂肪燃焼効果を下げる

 

 

 「糖質を控えているのに、なかなか体重が減らない」と感じている方の中には、毎日の晩酌が習慣になっている人も多く、お酒が脂肪燃焼を妨げてしまう大きな要因のひとつになります。 

 

 

 私たちの体は、エネルギー源としてアルコールを優先的に分解し、お酒を飲むと、そのアルコールを処理することが最優先となり、体内の脂肪を燃やす働きが後回しになってしまいます。

 

 

 つまり、せっかく糖質を控えていても、飲酒の習慣が続いていると、脂肪の燃焼がストップしてしまうのです。

 

 

 また、「蒸留酒なら糖質がないから大丈夫」と安心している方も少なくありません。

 

 

 確かにウイスキーや焼酎などの蒸留酒は糖質がほとんど含まれていませんが、アルコール自体はエネルギーを多く含んでおり、摂取した分だけ脂肪燃焼の妨げになります。

 

 

 さらに、飲みすぎによるストレスや体調不良で、結果的に痩せないばかりか心身の負担が増えてしまうことも少なくありません。

 

 

 加えて、アルコールの多量摂取は肝臓での中性脂肪の合成を高め、脂肪肝や高脂血症のリスクを上昇させてしまい、見た目の体重だけでなく、血液検査の数値や内臓脂肪の蓄積にも悪影響を及ぼすのです。

 

 

 お酒を楽しむこと自体は決して悪いことではありませんが「適量を守る」ことが大切になり、飲む量や頻度を見直し、週に数日は休肝日を設ける、食事と一緒にゆっくり飲むなど、体にやさしい工夫を取り入れてみましょう。

 

玄米だからと糖質量は変わらない

 

 

 近年、健康への関心が高まり、白米から玄米に切り替える方が増えています。

 

 

 玄米には白米には少ない食物繊維やビタミン、ミネラルが含まれており、腸内環境の改善や栄養バランスを考えるうえで優れた食品です。

 

 

 シニア世代にとっては、便秘予防や血管の健康維持のためにも、玄米を取り入れることは大きなメリットがあります。

 

 

 しかし、ここで誤解しやすいのが「玄米なら糖質を減らせる」と思ってしまいますが、玄米に含まれる糖質の量は、白米とほとんど変わりません。

 

 

 見た目が茶色く、栄養価が高いからといって、糖質が少なくなるわけではなく、白米を食べていたときと同じ量を玄米で食べていると、摂取する糖質の総量は変わらず、血糖値への影響も残ってしまうのです。

 

 

 玄米のGI値(血糖値の上昇速度を示す指数)は白米より低く、血糖値の上がり方がゆるやかになりますが、血糖値が上がらないわけではありません。

 

 

 たとえ玄米でも、食べ過ぎれば血糖値はしっかりと上昇し、余ったエネルギーは体脂肪として蓄えられてしまいます。

 

 

 本当に糖質の摂取をコントロールしたいのであれば、白米を玄米に置き換えるだけでなく、「量」にも目を向けることが大切です。

 

 

 1回に食べるごはんの量を見直す、野菜やたんぱく質を先に食べて血糖値の上昇を緩やかにする、といった食べ方の工夫も合わせて行うことで、より効果的な健康管理が可能になるのです。

 

 

糖質の基礎を学んでいこう

 

 

 糖質のことを更に理解していくためにも、基礎をしっかりと知ることが重要になっていきます。

 

 

 毎日何気なく食べている糖質が、体の中でどのように働いてくれるのか、糖質の多い食材は何かなどを知ると今後の生活が楽になります。

 

 

 今糖質を摂りすぎている場合は、今日から基礎を学んで少しずつ減らしていき、糖質過多が招く病気を防いでいきましょう。

 

 

糖質は体を動かす重要な栄養

 

 

 「糖質=太る」「糖質はなるべく避けるもの」といったイメージが広まり、最近では糖質制限を実践する方も増えていますが、糖質は私たちの体を動かすうえで欠かせない大切な栄養素のひとつです。

 

 

 三大栄養素といえば、糖質・たんぱく質・脂質。その中でも糖質はもっとも早くエネルギーに変わり、日々の生命活動を支えてくれる栄養素です。

 

 

 糖質が体内に入ると、消化・吸収されてブドウ糖として血液を巡り、筋肉や脳の主要なエネルギー源になります。

 

 

 脳が栄養不足の時には、頭がボーっとしたり集中力が低下したりする原因となり、疲れているときに無性に甘いものが食べたくなるのは、脳が無意識にエネルギー源を欲しているサインといえるのです。

 

 

 もちろん、糖質をとりすぎれば体脂肪として蓄積され、肥満や生活習慣病のリスクを高めるのですが、極端に制限しすぎるのも問題です。

 

 

 糖質が不足すると、体は代わりのエネルギーとして脂質や体脂肪を利用しますが、その際には時間がかかり、急な運動や集中力を要する作業ではパフォーマンスが落ちることがあり、エネルギー不足による体調不良や筋肉量の減少を招くおそれもあるので。

 

 

 糖質は体を動かす頼もしい味方、毎日の食事を見直し定期、糖質をうまく活かすことで、年齢を重ねても元気に過ごすことができるのです。

 

 

糖質が多い食品を知ることが大切

 

 

 健康のために糖質を控えたいと思っても、どんな食品に多く含まれているのかを正しく知っていなければ、なかなか実践できず、糖質は、普段からよく食べている主食やおかず、飲み物の中にたくさん潜んでいるのです。

 

 

 代表的なのは、白米やパン、うどん、パスタといった主食に使われる小麦粉や米、そして砂糖になります。

 

 

 さらに芋類や根菜類(じゃがいも、さつまいも、にんじんなど)にも多くの糖質が含まれ、これらは自然の食品なので体に悪いわけではありませんが、量を考えずに食べると糖質過多になりやすいのです。

 

 

 また、これらを使った加工料理も糖質が多く、チャーハンやラーメン、焼きそば、カレーライスといったメニューは、主食と油が組み合わさり、さらに高カロリー・高糖質になりやすい代表例です。

 

 

 じゃがいもを使ったポテトサラダやコロッケ、グラタンなども他の糖質とセットで食べてしまいがちになります。

 

 

 お菓子も砂糖を多く含むので、当然ながら糖質は高く、クッキー、ケーキ、シュークリームといった洋菓子は、糖質と脂質の組み合わせで食欲が進みやすく、体脂肪の蓄積を招きやすいものです。

 

 

 見落としがちなのが、清涼飲料水や甘いジュース、果汁飲料、水分だからと気軽に飲んでしまいますが、実は大量の砂糖が溶け込んでいることも珍しくありません。

 

 

 果物もビタミンや食物繊維を摂れる一方で、果糖を含んでいるので、やはり食べすぎには注意が必要です。

 

 

 「糖質=悪」と決めつける必要はありませんが、自分がどれだけ糖質を摂っているかを知ることは健康管理の基本、どんな食品に糖質が多いのかを理解し、食べる量や頻度を意識することから始めてみましょう。

 

  

肥満予防はカロリーよりも糖質を見る

 

 

 「太らないようにカロリーを控えよう」と意識する方は多いですが、実は肥満予防のカギは“糖質の量”にあります。

 

 

 カロリーというのは食べ物に含まれるエネルギーの総量を指しますが、その中でも特に糖質は、他の栄養素とは違った性質を持っていることを知っておく必要があるのです。

 

 

 糖質は三大栄養素の一つですが、脂質やたんぱく質と異なり、体の構成成分(筋肉や細胞など)にはならず、糖質の役割は基本的に「エネルギー源」としてのみ使われるのが特徴です。

 

 

 人間の体は、食事で得た摂取エネルギーと、日常生活や運動などで使われる消費エネルギーのバランスによって保たれ、食べすぎて余ったエネルギーは、使われずに脂肪として体に蓄積され、肥満の原因となるのです。

  

 

 糖質はエネルギーとして使われやすい反面、余ったときには非常に効率よく体脂肪へと変換されます。

 

 

 食事から摂った糖質は、消化吸収されたあとブドウ糖に変換され、まずは肝臓や筋肉にグリコーゲンとして一時的に保存され、それ以上に余った分は、中性脂肪へと変わって体内に蓄えられてしまうのです。

 

 

 ここで大きな働きをするのが、血糖値を下げるホルモンとして知られる「インスリン」です。

 

 

 インスリンは、血液中のブドウ糖を細胞に取り込ませる働きがあるため、一時的には血糖値を安定させてくれますが、その最終目的は余った糖を脂肪として蓄えることにあります。

 

 

 そのためインスリンは別名「肥満ホルモン」とも呼ばれ、糖質を多く摂れば摂るほど、インスリンの分泌が増え、脂肪が体に溜まりやすくなるのです。

 

 

 糖質は消化吸収が早く、血糖値を急上昇させる性質があるので、単にカロリーだけを見るのではなく「どれだけ糖質を摂っているか」に注目することが、肥満を防ぐうえで非常に重要になります。

 

 

肥満はインスリンの働きを乱す

 

 

 インスリンの分泌量や働きには個人差があり、これは膵臓の機能に大きく左右され、インスリンを分泌しにくい体質の人は、食後の血糖値がなかなか下がらず、高血糖が続きやすい傾向にあります。

 

 

 一方で、インスリンを多く分泌する人は、血糖値を下げるスピードは早いものの、糖質を脂肪細胞に運ぶ力が強いため、エネルギーとして使われなかった糖が効率よく脂肪として蓄えられてしまいます。

 

 

 結果として、同じ食事量であっても、インスリン分泌量の多い人のほうが体脂肪が増えやすいという特徴があります。

 

 

 さらに、肥満が進んで内臓脂肪が増えると、インスリンの働きが低下する「インスリン抵抗性」という状態が起こりやすくなるのです。

 

 

 インスリンがうまく効かないと、膵臓は「もっとインスリンを出さなければ」と過剰に分泌を続けますが、これがさらなる脂肪蓄積を招き、悪循環に陥ります。

 

 やがて膵臓の機能が追いつかなくなると、血糖値が慢性的に高い状態となり、糖尿病のリスクが一気に高まってしまうのです。

 

 

 このように、肥満はただ体重が増えるだけの問題ではなく、インスリンの働きや膵臓の負担にも深く関わっています。

 

 

 シニア世代では、長年の生活習慣が影響し、知らないうちにインスリン抵抗性が進んでいることも少なくないので、内臓脂肪を減らし、血糖値の乱高下を防ぐことは、インスリンの働きを守り、糖尿病をはじめとする生活習慣病を遠ざけていくのです。

 

 

血糖値を上げるのは糖質のみ

 

 

 「食べると血糖値が上がる」と聞くと、脂っこい料理や肉なども含まれていると思われがちですが、実際に血糖値を直接上げる栄養素は「糖質」だけ、脂質やタンパク質は、エネルギー源にはなっても、血糖値そのものに大きな影響を与えることはありません。

 

 

 糖質を含む食品を摂ると、体内でブドウ糖に分解され、血液中に糖が流れ込み、血糖値が上昇し、膵臓からインスリンが分泌され、血糖値を正常に戻す働きが起こります。

 

 

 健康な人であれば、多少糖質を摂って血糖値が一時的に上がっても、数時間のうちに元の状態に戻るため、大きな問題にはなりません。

 

 

 しかし、問題なのは「血糖値が下がりきらないうちに、再び糖質を摂ってしまう」ような食生活で、朝食後の血糖値がまだ高い時間帯に甘い飲み物やおやつを摂ったり、夕食の後にすぐデザートを食べる習慣があると、体は常に高血糖状態にさらされることになります。

 

 

 このような慢性的な高血糖状態が続くと、血管に大きなダメージが蓄積していくのです。

 

 

 影響を受けやすいのは、細い血管で構成されている目の網膜、腎臓の糸球体、手足の末端の神経など。血流が悪くなり、詰まりやすくなって、視力低下、腎機能の悪化、しびれや感覚障害など、さまざまな合併症を引き起こす可能性があります。

 

 

 こうした病気の引き金になるのが「糖質の摂りすぎによる持続的な高血糖」なのです。

 

 

 カロリーや脂質ばかりに目が行きがちですが、血糖値を意識するなら、糖質の摂り方を見直すことを最優先にしていきましょう。

 

 

糖質から脂質をエネルギーに回路に

 

 

 糖質を控えると「力が出ないのでは?」「エネルギー不足になるのでは?」と心配する方がいますが、私たちの体には糖質が少ない状態でもエネルギーを生み出す仕組みが備わっているので、過度に不安に思う必要はないのです。

 

 

 通常、食事で摂った糖質は体内でブドウ糖に分解され、解糖系という経路を通ってエネルギーに変換され、ブドウ糖はすぐに使われる分と、肝臓や筋肉にグリコーゲンとして貯蔵される分に分かれます。

 

 

 しかし、糖質を控えていると、すぐに使えるブドウ糖の量が減っていきます。

 

 

 そんなときに働くのが「糖新生」という仕組みになり、糖新生では、体内に貯め込んだ脂肪や、場合によっては筋肉の一部を分解して、ブドウ糖を新たに作り出していくのです。

 

 

 これによって血糖値を維持し、脳や赤血球など糖を必要とする器官にエネルギーを供給をしていきます。

 

 

 さらに、糖質が不足すると「ケトン体回路」と呼ばれるエネルギー変換経路も活発化し、体内の脂肪を分解してケトン体という物質を作り、それを筋肉や心臓、脳の一部のエネルギー源として利用するようになります。

 

 

 この仕組みにより、糖質を抑えた食事でも体を動かすためのエネルギーは十分に確保されるのです。

 

 

 つまり、糖質を控えることは、体内に蓄えられた脂肪を効率よく使うきっかけとなり、体はもともと多様なエネルギー供給システムを持っているので、糖質を減らしたからといって急に力が出なくなるわけではないのです。

 

 

糖質と重病の関係を知っていく

 

 

 私たちの身近な栄養素である糖質が、実はさまざまな重病と深い関わりを持っています。

 

 

 糖質は体を動かすための大切なエネルギー源ですが、摂りすぎや食べ方を誤ると、血糖値が慢性的に高い状態をつくり、血管や臓器に大きな負担を与えるのです。

 

 

 その結果、糖尿病をはじめ、動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中など、命に関わる様々な病気のリスクが高まっていくのです。

 

 

糖質の摂りすぎが病気の入り口に

 

  

 毎日の食事で、気づかないうちに糖質を摂りすぎてしまう人は少なくありません。

 

 

 体を動かす量が少ないのに糖質を多く取り入れると、使いきれなかったエネルギーが体脂肪として少しずつ蓄えられていきます。その蓄積が進んでいくと、やがて肥満へとつながるのです。

 

 

 肥満かどうかは見た目だけでは判断できず、一般的な目安として用いられるのがBMI(体格指数)です。

 

 

 BMIは「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で求められ、この値が25以上になると肥満と判定され、外見は細く見えても、筋肉量が少なく体脂肪が多い場合もあり、数値で確認することが重要になります。

 

 

 注意したいのが、内臓まわりに脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満」、CTなどで測定される内臓脂肪の面積が100cm²を超えると「肥満症」と診断されることが多く、この状態は単なる肥満よりもリスクが高いとされています。

 

 内臓脂肪は見た目では気づきにくいですが、内臓や血管を常に圧迫し、さまざまな悪影響を及ぼします。

 

 

 内臓脂肪が増えると、血管系の病気を引き起こしやすく、高血圧や脂質異常症を経て動脈硬化が進行し、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まるのです。

 

 

 また、肝臓に脂肪がたまり「脂肪肝」を招くことも、これらはすべて糖質をとりすぎた結果として現れやすい症状で、生活習慣病の入り口といえるでしょう。

 

 

痩せて見える痩せメタボも

 

 

 体脂肪には大きく分けて「皮下脂肪」と「内臓脂肪」の2種類があります。

 

 皮下脂肪はその名の通り皮膚の下に蓄えられ、寒さや外部の衝撃から体を守るクッションのような役割を果たし、増えすぎると見た目の体型に影響しますが、健康リスクは比較的低いといわれています。

 

 

 その反面、内臓脂肪はお腹の奥、腸や肝臓といった内臓のまわりにつく脂肪で、これが過剰になるとさまざまな問題を引き起こします。

 

 

 内臓脂肪が多いとインスリンの効きが悪くなり、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病を招きやすく、見た目がスリムでも、実は内臓脂肪が多い「隠れ肥満」や「痩せメタボ」と呼ばれる状態の人が増えており、注意が必要になるのです。

 

 

 BMIが正常値だからといって安心はできず、運動習慣が少なく筋肉量が減っていると、体重は軽くても内臓脂肪が蓄積していることもあります。

 

 

 健康診断でメタボリックシンドロームを指摘されるのは、まさにこうしたケースが多いのです。

 

 

 しかし、内臓脂肪は皮下脂肪と比べて代謝が活発で、エネルギーとして使われやすい性質があります。

 

 

 そのため、食生活を見直し、ウォーキングやストレッチなどの軽い運動を取り入れることで、比較的短期間で減らしやすいといわれ、気づいた時点で早めに行動を起こせば、健康を取り戻すチャンスは十分にあるということです。

 

  

血糖値の乱高下は血管を傷つける

 

 

 糖質を多く含んだ食品を急いで食べたり、早食いをしてしまうと、血液中のブドウ糖が一気に増え、血糖値が急上昇します。

 

 

 それを下げるためにインスリンが大量に分泌され、今度は血糖値が急降下します。この短時間の間に血糖値が激しく上下する状態が「血糖値スパイク

 

 

 血糖値スパイクは体にさまざまな不調をもたらしてしまい、急激な血糖値の変化は自律神経を乱し、食後の強い眠気やだるさ、さらにはイライラなどの症状が現れやすくなるのです。

 

 

 「ご飯を食べたあと急に眠くなる」「すぐに甘いものが欲しくなる」といった経験は、この血糖値スパイクが関係しているかもしれません。

 

 

 問題なのは、この血糖値スパイクを日常的に繰り返していると、インスリンの効きが悪くなり、膵臓がさらに多くのインスリンを分泌するようになってしまいます。

 

 

 そのたびに血管が強いストレスを受け、少しずつ傷つけられていき、血管の内側に小さな傷が増えると、修復のために脂質が集まりやすくなり、動脈硬化が進行していくのです。

 

 

 血管が硬くなり狭くなると、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気を引き起こすリスクが高まり、見えない場所でじわじわと進むため、気づいたときにはすでに大きな病気へと進展していることも少なくありません。

 

 

血糖値スパイクが活性酸素を増加

 

 

 食後に血糖値が急上昇し、その後急降下する血糖値スパイクが繰り返されると、体の中ではインスリンが過剰に分泌されます。

 

 

 その際に副産物として大量に生じるのが「活性酸素」、活性酸素は私たちの体が酸素を利用してエネルギーを作り出す過程でもともと発生する物質ですが、増えすぎると細胞や組織を傷つけてしまう特徴がみられます。

 

 

 活性酸素は、細菌やウイルスを攻撃して体を守る役割をもつ一方で、過剰になると体内の脂質やタンパク質を酸化させ、老化やさまざまな病気の引き金となってしまいます。

 

 

 例えば、皮膚のコラーゲンが酸化されると、肌の弾力が失われてシワやたるみが目立つようになり、メラニンが過剰に生成されてシミも増加、見た目の老化を加速させる原因のひとつに

 

 

 さらに深刻なのは、活性酸素が血管の内側を傷つけ、血管の内壁にダメージが蓄積すると、修復の過程で脂質が沈着しやすくなり、動脈硬化が進行してしまいます。

 

 

 動脈硬化が進むと血流が悪くなり、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気を引き起こすリスクが高まっていくのです。

 

 

糖質過多は骨に異常をもたらす

 

 

 糖質を摂りすぎる生活を続けていると、体は余ったエネルギーを脂肪として蓄え、やがて肥満へと進んでいきます。

 

 

 ところが、体重が増えていく一方で、運動量が減って筋肉量は少しずつ落ちていき、足腰を支える筋力が弱っていくと、体重をしっかりと支えきれず、膝や股関節などに大きな負担がかかり、やがて関節や骨の変形を招きやすくなります。

 

 

 膝は負担が集中しやすい場所で、体重が1kg増えると膝にはその3倍、約3kg分の負担がかかるとされています。

 

 

 わずかな体重の増加でも、長い年月をかけて膝に負担が積み重なると、変形性膝関節症などのトラブルが起こりやすく、これが慢性的な痛みや歩行困難を引き起こし、生活の質を低下させてしまうのです。

 

 

 さらに、糖質の過剰摂取は骨そのものの質にも悪影響を与え、糖質が体内で過剰になると、余分な糖がタンパク質と結びついて「AGEs(最終糖化産物)」という老化物質を生み出します。

 

 

 骨の基礎を作っているのはコラーゲンというタンパク質ですが、このコラーゲンに糖が結びついてAGEsが形成されると、骨の弾力や強度が失われ、もろくなってしまうのです。

 

 

 その結果、転んだときに骨折しやすくなったり、骨の内部がスカスカになる骨粗鬆症のリスクが高まり、肥満と筋力低下による関節の負担、AGEsによる骨の脆弱化が重なると、ちょっとした転倒でも大きなケガにつながりかねません。

 

 

健康診断での数値を把握する

 

 

 健康診断の結果をただ受け取るだけではなく、その数値の意味を知ることで、糖尿病をはじめとした生活習慣病を早期に予防することができ、注目したいのが「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」になります。

 

 

 HbA1cは、過去1〜2か月の平均的な血糖値を示す指標で、食事の内容やその日の体調に左右されにくいのが特徴です。

 

 

 単なる一時的な血糖値ではなく、長期間の血糖コントロール状態を知ることができるため、糖尿病の診断や予防には欠かせない数値といえます。

 

 

 一般的にHbA1cが6.5%以上になると糖尿病の疑いがあり、5.6%以上からは「要注意ゾーン」とされています。

 

 

 この範囲に入っている場合は、すぐに生活習慣を見直すことが重要になり、食事のバランスを整え、運動量を増やしたりすることで、進行を防ぐことができます。

 

 

 さらに、空腹時血糖値の項目も大切になり、朝食を抜いた状態で測定するこの数値は、通常100mg/dL未満が正常とされ、それを超えると高血糖の傾向が疑われます。

  

 

 HbA1cと空腹時血糖値の両方を組み合わせて確認することで、より正確なリスク評価が可能になるのです。

 

 

 もし普段から血糖値の変化が気になる場合は、市販されている血糖測定キットを活用するのも一つの方法になり、自宅で簡単に測定ができるため、日々の食事や運動の成果をこまめにチェックすることができます。

 

 

糖質の摂り方を工夫した食事法

 

 

 糖質は体のエネルギー源として欠かせませんが、摂りすぎや食べ方の偏りは血糖値の乱高下や脂肪蓄積を招いてしまいます。

 

 

 そこで、この章では食事の順番や組み合わせ、食材選びや調理法など、日々の食卓で簡単に実践できる工夫で糖質制限を行うことができます。

 

 

 低GI食品や雑穀の取り入れ方など、具体的な実践法を学び、糖質を賢く活用する食生活を身につけていきましょう。

 

 

細かい計算は不要の糖質制限を

 

 

 以前は「体重を減らすにはカロリー制限が一番」と言われていました。

 

 

 しかし、日々の食事をグラム単位で計算し、すべての食品のカロリーを記録していくのはとても手間がかかってしまい、途中で計算等が面倒になり、結局あきらめてしまう人が少なくありません。

 

 

 そこで「糖質制限ダイエット」、糖質制限は、1日の糖質の総量を減らすだけで、特別な計算をしなくても自然と体脂肪を減らしていける方法です。

 

 

 体内で糖質は脂肪として蓄積されやすいため、これを控えるだけで、余分なエネルギーの貯蔵が減り、体重や体脂肪の減少につながります。

 

 

 近年の研究では、カロリー制限と比べても、糖質制限のほうが大幅な体重減少効果を示すことがわかっており、単純に食べる量を減らすよりも、糖質を調整するほうが、無理なく続けられ、健康的な体づくりを行うことができるのです。

 

 

 具体的には、目に見える糖質をタンパク質や野菜に置き換えていき、たとえば、昼食のパンをサラダチキンや卵、野菜たっぷりのスープにする。

 

 

 夕食のごはんを半分にして、その分を焼き魚や豆腐に置き換える、こうした小さな積み重ねを行うことで、自然と糖質の量が減り、血糖値の急上昇も防ぐことができるのです。

 

 

糖質量が減ることで重病予防

 

 

 糖質を意識して減らすことで、体の内側からさまざまな改善が期待でき、大きな変化として現れやすいのが「内臓脂肪の減少」です。

 

 

 内臓脂肪が減ると、健康診断の数値にも良い影響が現れ、空腹時血糖値やHbA1c、中性脂肪、コレステロール値など、これまで高めだった指標が少しずつ正常値に近づいていくのです。

 

 

 逆に、糖質を摂りすぎて内臓脂肪が増えると、高血圧・高血糖・脂質異常症といった症状が現れやすく

 

 

 これらが複合的に進むとメタボリックシンドロームの状態になり、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる重病のリスクを大きく高めてしまうのです。

 

 

 見た目では気づきにくい内臓脂肪ですが、実際には血管や内臓に負担をかけ続け、長い年月をかけて病気を進行してしまいます。

 

 

 また、糖質の摂りすぎは「糖質依存」と呼ばれる状態を招きやすく、無意識に甘いものや炭水化物に手が伸びてしまう、この生活を見直すことで、体重や体脂肪が減るだけでなく、将来の病気予防につながる「予防医療」としての効果も期待できます。

 

 

食べ方を工夫して糖質オフ

 

 

 糖質制限を意識するとき、多くの人は「何を食べるか」ばかりに目を向けがちです。

 

 

 しかし、実際には「どのように食べるか」も、血糖値や糖質の総摂取量に大きく影響し、食事全体の糖質を減らすだけでなく、食べ方を見直すことが糖質オフの成功につながります。

 

 

 中性脂肪が多い人の生活習慣を見てみると、早食いの傾向で、人間の脳にある満腹中枢が「もうお腹いっぱい」と感じるまでには、食べはじめてから約20分かかるといわれています。

 

 

 ところが、早食いをしてしまうと、その20分を待たずにどんどん食べてしまい、結果的に必要以上の糖質やカロリーを摂りすぎてしまうのです。

 

 

 早食いを続けることで胃が徐々に大きくなり、1回の食事で食べられる量も増えてしまい糖質の総量も日々増加、気づかぬうちに肥満や生活習慣病のリスクが高まります。

 

 

 こうした悪循環を断ち切るためには、食事のスピードや食べ方を意識的に変えることが重要となり、ひと口ごとに30回噛むことを目標にすると、自然と食べるペースがゆっくりになるのです。

 

 

 さらに、腹六分から八分を目安に、満腹になる前に箸を置く習慣をつけていくことで、1回の食事に20分以上かけてゆっくり食べる事ができ、脳が満腹を感じやすくなり、食事量を無理なく減らすことができるのです。

 

 

まずは夕食の糖質を置き換えから

 

 

 糖質制限を始めようとするとき、つい「今日からすべてを完璧にやろう」と意気込みすぎてしまう方もおられます。

 

 

 しかし、最初から大きく食事を変えたり、運動を一気に取り入れたりすると、体や心に負担がかかり、長続きせずに途中でやめてしまうことも少なくないのです。

 

 

 さらに、無理をしたことでストレスがたまり、結局リバウンドしてしまうケースにも注意が必要になります。

 

 

 だからこそ大切なのは、まず「習慣化できる小さな一歩」から始めること。

 

 

 まずは夜の糖質を見直し、夕食後は体をあまり動かさず、糖質が脂肪に変わりやすい時間、ここを改善するだけでも、体重管理や血糖値の安定に大きな効果が期待ができるのです。

 

 

 やり方は、主食をいつもの4分の1、あるいは3分の1だけ減らし、その分を野菜のおかずやスープに置き換え、食物繊維が豊富な野菜を増やせば、満腹感も得やすく、血糖値の急上昇も防げます。

 

 

 慣れてきたら量を半分、あるいは糖質をほとんど含まない食材に置き換えてみるといった段階的なステップがおすすめになります。

 

 

 いきなり完璧を目指すのではなく、少しずつ無理なく進めることで、体も心も順応しやすくなり、習慣として定着していくのです。

 

 

毎日良質なタンパク質を摂っていく

 

 

 タンパク質は、私たちの筋肉や臓器、皮膚、髪の毛、爪といった体のあらゆる組織をつくるために欠かせない栄養素

 

 

 年齢を重ねると、筋肉量や骨密度が少しずつ低下していくため、毎日意識してタンパク質を摂取していくことが、健康な体を維持するうえでとても重要になります。

 

 

 一般的な摂取の目安としては「体重(kg)×1.0g」のタンパク質を1日に摂ることが推奨され、体重60kgの人なら、1日60gを目安にします。

 

 

 ただし、一度にたくさんとっても、体内で使われない分は効率よく活かされません。朝・昼・夜の食事や間食など、複数回に分けてとるように心がけると、体がしっかり吸収して活用してくれます。

 

 

 タンパク質を含む食材は、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品など、身近なものがたくさんあります。

 

 

 どれか一つに偏らず、さまざまな食品を組み合わせてとることで、必須アミノ酸や微量栄養素をバランスよく補うことができ、シニア世代では、消化や吸収の負担が少ない調理法を選び、脂肪分の少ない食材を中心にすることがおすすめです。

 

 

 ただし、タンパク質をとる際に気をつけたいのが「調味料やソースに含まれる糖質」です。

 

 

 たとえば、甘い照り焼きのタレやケチャップ、砂糖を多く使った煮物の味付けなどは、せっかくタンパク質を意識しても、同時に糖質を大量に摂ってしまうことになります。

 

 

 なるべくシンプルな味付けを選び、香辛料やレモン、ハーブなどを活用することで、糖質を抑えながらおいしく食べることができるのです。

 

 

良い脂質を味方にしていく

 

 

 脂質と聞くと「太る」「体に悪い」というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、実は私たちの体にとってとても大切な栄養素です。

 

 

 脂質は、ホルモンの原料になったり、細胞膜の材料になったりと、体のさまざまな機能を支え、毎日適量の良質な脂質をとることで、健康を保ちやすくなるのです。

 

 

 脂質にはいくつか種類があり、大きく分けると「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分類されます。

 

 

 飽和脂肪酸は肉の脂やバターなどに多く含まれ、摂りすぎると悪玉コレステロールを増やし、動脈硬化や心筋梗塞のリスクを高めていき、不飽和脂肪酸は魚や植物油に豊富で、血中脂質を改善しやすいといわれています。

 

 

 不飽和脂肪酸の中でも特に注目すべきなのが「オメガ3系脂肪酸」と「オメガ6系脂肪酸」、どちらも体内で合成できないため、食事からとる必要があります。

 

 

 現代の食生活では、揚げ物や加工食品に多く含まれるオメガ6系を過剰にとりがちで、バランスが崩れやすくなっているのです。

 

 

 オメガ6を減らすことを意識しながら、青魚(サバ、イワシ、サンマなど)やえごま油、亜麻仁油といったオメガ3を意識してとると、体の炎症を抑え、血管を守る効果が期待できます。

 

 

 また、マーガリンやショートニング、スナック菓子などに含まれる「トランス脂肪酸」は、体内で悪玉コレステロールを増やす作用が強く、なるべく避けたい脂質なので、ラベル表示を確認し、頻繁な摂取は控えましょう。

 

 

キノコと海藻類で血糖値対策

 

 

 血糖値を安定させるためには、糖質の量や食べ方に気をつけるだけでなく、血糖値の上昇をゆるやかにする食材を上手に取り入れていき、その代表的なものが、キノコと海藻類になります。

 

 

 キノコ類は、どの種類も超低カロリーで、豊富な不溶性食物繊維を含んでおり、不溶性食物繊維は胃や腸で水分を吸って膨らみ、便のかさを増やして腸のぜん動運動を活発にする働きがあります。

 

 

 これにより、腸内環境が整いやすくなり、血糖値の急上昇を抑える効果も期待できます。

 

 

 さらに、椎茸やエリンギ、舞茸、しめじなど、キノコの種類ごとにビタミンやミネラルが含まれ、普段の食事で不足しがちな栄養素を補うことができるのです。

 

 

 一方、海藻類もキノコと同じく超低カロリーで、今度は水溶性食物繊維を豊富に含み、水溶性食物繊維は、腸内でゲル状になって糖の吸収をゆっくりにし、食後の血糖値の急激な上昇を防ぐのに役立ちます。

 

 

 わかめ、ひじき、もずく、めかぶといった海藻類を日々の食事に少しずつ取り入れることで、食物繊維のバランスが改善し、腸内環境のサポートになってくれるのです。

 

 

 食物繊維は便をやわらかくして排便をスムーズにする作用もあり、シニア世代で悩むことの多い便秘対策にも必須、キノコと海藻を組み合わせた味噌汁やサラダ、煮物などにすると、簡単に食卓へ取り入れやすいでしょう。

 

 

血糖値を抑えるカーボラスト

 

 

 お腹がすいているとき、つい手を伸ばしたくなるのが白米やパン、麺類といった主食です。

 

 

 手軽でおいしいのですが、これらは糖質を多く含み、空腹の状態で最初に食べると血糖値が急激に上がりやすくなります。

 

 

 普段から糖質を控える食事を意識していても、この食べ方を続けていると、血糖値のコントロール効果は薄れてしまうのです。

 

 

 そこで取り入れてほしいのが「カーボラスト」の食べ方になり、カーボラストは、炭水化物(カーボ=糖質)を食事の最後に回すことを意味しています。

 

 

 食物繊維やたんぱく質、脂質を先に食べることで、胃や腸での糖の吸収が緩やかになり、食後の血糖値の急上昇を抑える効果が期待できるのです。

 

 

 たとえば、夕食でごはんやパンを食べる前に、まずは野菜たっぷりのサラダや煮物をゆっくりよく噛んで食べ、魚や肉、豆腐などのたんぱく質のおかずを楽しみ、最後に主食を少しだけ口にする、という順番

 

 これだけで同じ食事内容でも血糖値の上がり方が変わり、食べ過ぎ防止にもなるのです。

 

 

 カーボラストは、食物繊維が胃腸で壁を作り、後から入ってくる糖質の吸収をゆるやかにするため、インスリンの急激な分泌を抑制

 

 

 毎回の食事で意識するだけで、血糖値スパイクを防ぎ、長い目で見たときに糖尿病や動脈硬化などのリスクを下げる助けになります。

 

 

意外な落とし穴になる調味料

 

 

 糖質をオフの生活習慣を行っていても落とし穴になるのが調味料の存在、食材で糖質や血糖値を抑えても高糖質の調味量を使用すると台無しになってしまいます。

 

 

 糖質が多い調味料には、砂糖を含み、みりん、ソース、焼肉のたれ、ポン酢など挙げられ、これらは無意識に使ってしまう事が多いので改善が必要になるのです。

 

 

 ソースやたれ、ポン酢を使用する際は、食材にかけるのではなく小皿にとり、ディップ方式で使用をする事で使用量を調整でき、つけ過ぎ防止に繋がります。

 

 

 ハチミツや黒糖などの天然の甘味料は体に良いからとたくさん使用してしまう方もおられますが、糖質量は多いので、使用量には注意し上手に日常に取り込んでいきましょう。

 

 

まとめ

 

 

 私たちの体に欠かせない糖質ですが、現代の食生活では無意識のうちに糖質過多になりがちです。

 

 

 朝から夜までごはんやパン、麺類を中心に食べ続けると、使い切れない糖質が脂肪に変わり、日々内臓脂肪や皮下脂肪が蓄積されていきます。

 

 

 これが血糖値の乱高下を招きインスリンが過剰に分泌されると、やがて糖尿病や高血圧、脂質異常症といった生活習慣病、さらには動脈硬化や心筋梗塞などの重病につながってしまうのです。

 

 

 しかし、糖質を完全に排除する必要はなく、糖質は脳や体を動かすための大切なエネルギー源であり、必要な分はきちんと摂るべき栄養素

 

 

 重要なのは質と摂り方になり、夕食の主食を少し減らし、野菜やたんぱく質を増やす置き換えから始めると、無理なく続けることができるのです。

 

 

 食べる順番も工夫をしていき、野菜やたんぱく質を先に食べて、炭水化物を最後に回す「カーボラスト」も血糖値の急上昇を防ぎます。

 

 

 また、早食いを避け、ひと口30回を目安にゆっくり食べることで満腹中枢が働き、食べ過ぎを防ぐことができるのです。

 

 

 オメガ3系脂肪酸を含む魚や植物油、筋肉を守る肉・魚・大豆製品を組み合わせ、キノコや海藻から食物繊維を補うと、血糖値対策に役立ちます。

 

 

 糖質の質と量を見直すことは、減量だけでなく将来の重病予防にもつながり、小さな習慣を積み重ね、糖質を味方にした食事法で、長く元気な体を目指していきましょう

 

 

 

 

 最後まで見ていただきありがとうございました。

 

 

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