はじめに
人の体は、毎日の「食べたもの」でできており、どんなに高価なサプリメントや医療を受けても、日々の食事が乱れていては、健康は遠のいてしまいます。
だからこそ「何を食べるか」は、私たちの人生そのものを左右する大切な選択なのです。
そして、食べることは単なる栄養補給だけではなく、美味しいものを食べたときの喜びや、誰かと囲む食卓の温かさは、心まで豊かにしてくれるのです。
本編では、特別な食材や難しい料理ではなく、毎日を支える「シンプルで賢い食べ方」をご紹介
楽しく、無理なく、そして美味しく。食事を通して、心と体の健康を整えていくための第一歩を、いっしょに踏み出していきましょう。
まずは食事の基礎作りから始めよう
体に良さそうと始めた糖質制限も、やりすぎるとエネルギー不足や栄養の偏りを招いてしまい、シニア世代では、極端な食事制限が筋力低下や免疫力の低下につながることもあるのです。
偏った食生活は、かえって肥満や生活習慣病のリスクも高めてしまうので、まず大切なのは、主食・主菜・副菜を基本にしたバランスのよい食事を整えること。
難しいことはせず、毎日の食事からゆっくり体を整えていきましょう。
糖質は0ではなく程よくを
糖質(炭水化物)は、タンパク質・脂質と並ぶ「三大栄養素」のひとつで、私たちの体に欠かせない大切なエネルギー源
中でも、筋肉や脳は糖質を主なエネルギーとして利用しており、特に脳は1日に約120gもの糖を必要とすると言われています。
つまり、糖質をまったく摂らない生活は、体と心の両方にとって大きな負担になってしまうのです。
最近では、糖質制限ダイエットが広く知られるようになり「糖質は悪者」という印象が定着しつつありますが、極端に減らすと逆効果
糖質が不足すると、体は筋肉を分解して糖をつくり出す「糖新生」という働きを始めてしまい、これにより筋肉量が減り基礎代謝が下がり、かえって太りやすい体になることもあるのです。
また、脳へのエネルギー供給が不十分になれば、イライラ、集中力の低下や気分の落ち込みといった症状が現れることもあるのです。
健康的な食生活を送るには、糖質をゼロにするのではなく「適量を上手に摂る」ことが大切になり、厚生労働省も、成人で1日130g以上の糖質摂取を推奨しています。
主食を選ぶ際は、白米や精製されたパンだけでなく、玄米や雑穀ごはん、全粒粉パンなど、食物繊維やビタミン・ミネラルが残った未精製の食品を選ぶと、血糖値の急上昇を抑えつつ満足感も得ることができるのです。
血糖値が上がりにくいセカンドミール効果
血糖値の安定は、シニア世代の健康維持にとって重要なテーマで、近年注目されるのが「セカンドミール効果」
これは、前の食事内容が次の食事後の血糖値の上昇に影響を与えるという現象で、血糖値の調整には欠かせない重要なメカニズムです。
通常、食後の血糖値は20〜30分ほどかけて緩やかに上がっていくのが理想ですが、空腹時に一気に食べたり、糖質の高いものばかりを摂ると、急激に血糖値が跳ね上がります。
この急激な上昇と下降を繰り返すことが、糖尿病や動脈硬化といった血管系の病気の引き金になってしまい、若い世代では肥満が主なリスクですが、シニア層にとっては血管のダメージや視力、腎機能への影響のほうが深刻です。
このようなリスクを避けるためにも、セカンドミール効果を活かした食生活が効果的になり、まずは朝食をきちんと摂って1日をスタートしましょう。
たとえば、朝に食物繊維やたんぱく質を含むバランスの良い食事をとると、昼食後の血糖値の上昇が穏やかになることが知られています。
逆に、朝食を抜くと昼食時の血糖値が一気に上がりやすくなり、体にとって大きな負担となってしまうのです。
また、食事内容にもひと工夫を。白米やパンなど精製された糖質は血糖値を上げやすいため、玄米や全粒粉パン、野菜、豆類などGI値の低い食品を意識して取り入れると、食後血糖値の急上昇を抑えることができます。
これらの低GI食品を朝食や間食として上手に取り入れれば、次の食事の血糖反応も穏やかになります。
セカンドミール効果を意識すれば、1日を通して血糖値を安定させることができ、糖尿病予防だけでなく、日々の疲労感や集中力の維持にもつながっていくのです。
おやつは痩せやすい時間に
「甘いものは太る」とよく言われますが、完全におやつを断つ必要はなく、食べる時間帯を工夫することで、甘いものとも上手に付き合えるのです。
ポイントは、「体内時計」と「血糖値の変化」を理解することにあります。
甘いお菓子に多く含まれるブドウ糖やショ糖は、血糖値を急激に上げる性質があり、白米やパンなどの主食に含まれる糖質とは異なり、吸収が早いため、血糖値の変動も大きくなるのです。
こうした急上昇はインスリンの大量分泌を招き、結果的に脂肪の蓄積を促し、シニア世代では血糖コントロールの能力が若い頃よりも落ちてくるため、血糖値の乱高下が体に大きな負担となってしまいます。
しかし、適切な時間に食べることで、こうした影響を抑えることができ、重要になる時間帯は10時〜14時
この時間は、体内で脂肪合成を促す「BMAL1(ビーマルワン)」というたんぱく質の分泌量が最も少ない時間帯とされ、この時間に甘いものを食べても、脂肪として蓄積されにくくなるのです。
反対に注意したいのが、夜の22時〜深夜2時、時間帯はBMAL1の分泌が最も活発になり、同じものを食べても脂肪になりやすくなってしまいます。
夜食や遅い時間のおやつが「太る原因」と言われるのは、まさにこの体内リズムの影響も少なくないのです。
また、おやつを食べるときには、飲み物を上手に組み合わせていき、甘いものを単独で食べるのではなく、無糖のコーヒーや紅茶と一緒に楽しむことで、自然と食べる量を抑制することが可能になります。
どうしても量を食べたいときは、寒天やゼリー、干し芋など、自然の甘みで満足できる低カロリーな食品を選んでいき、噛みごたえや食物繊維もあり、満腹感も得られやすいので、積極的に選んでいきましょう。
タンパク質で健康体を作っていく
近年、健康志向の高まりとともに「タンパク質を意識して摂ろう」という風潮が広がりつつあり、スーパーやコンビニでも「高タンパク」「プロテイン入り」といった商品が多く見られるようになり、タンパク質の重要性が認識されてきています。
タンパク質と聞くと「筋肉を作る栄養素」というイメージが強いかもしれませんが、実際にはその働きは多岐にわたります。
髪や爪、肌といった外見を形作る部分はもちろんのこと、体内では臓器の構成要素にもなり、神経伝達物質やホルモンといった、体の機能を調整する重要な物質の材料にも使用され、タンパク質は健康を支える「土台」となる栄養素とも呼べるのです。
このように大切な役割を担っているタンパク質ですが、他の栄養素と違って「体内にストックできない」という特徴を持ち合わせているのです。
余った分はエネルギーとして使われるか、排出されてしまうため、毎日こまめに補給し続けることが重要となり、一度にたくさん摂ればいいというわけではなく、毎日の食事の中で適量を分散させることが大切になっていきます。
また、シニア世代ではタンパク質の摂取不足が問題になるケースが増加し、加齢によって筋肉の合成力が落ちてくるうえに、食が細くなったり、消化吸収の力が低下することで、思った以上にタンパク質が足りていないのです。
朝食では、パンや果物など軽めの食事になりがちで、タンパク質が不足しやすい傾向があるのです。
朝にしっかりとタンパク質を補っていくことで、その日の活動に必要なエネルギーや集中力、筋肉の維持に役立つだけでなく、1日を通しての血糖値の安定にもつながっていきます。
油は質にこだわって使う
「油は太る」「体に悪い」といったイメージを持っている方も多いかもしれません
油の摂りすぎは肥満や生活習慣病の原因となりますが、油=脂質は、実は私たちの体にとって欠かすことのできない栄養素、上手に選び適切に摂ることで、美容にも健康にも大きな恩恵をもたらしてくれるのです。
脂質は三大栄養素のひとつで、ホルモンの材料となったり、細胞膜を形成したり、内臓を保護したりと、体内で非常に多くの役割を果たしてくれます。
さらに、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)の吸収を助ける働きもあるため、完全に避けるのではなく、「質の良い脂質を選んで適量を摂る」ことが健康維持の鍵となります。
脂質には大きく分けて、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2種類に分けられます。
飽和脂肪酸は、主にバターやラード、肉の脂身などに含まれており、摂りすぎると血中の悪玉コレステロール(LDL)を増やし、動脈硬化や心疾患のリスクを高めるとされています。
シニア世代では、血管の柔軟性が低下しやすいため、飽和脂肪酸の過剰摂取には注意が必要になるのです。
一方で、不飽和脂肪酸は健康に良い働きを持つ脂質で、不飽和脂肪酸は、オメガ3系、オメガ6系、オメガ9系に分類されます。
この中で特に注目すべきは、青魚などに多く含まれるオメガ3系脂肪酸になります。
代表的なものとしてDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)があり、これらは血圧を下げたり、悪玉コレステロールを減らしたり、血液をサラサラに保つ効果があることが知られ、脳の働きを保ち、認知症予防にも役立つとされています。
オメガ6系脂肪酸も、実は体にとって必須の脂肪酸となり、ごま油、サラダ油、大豆油などに含まれ、適量であれば炎症を抑える働きもあります。
しかし、現代の食生活では、オメガ6系の摂取量が極端に多くなりがちで、過剰に摂ると逆に炎症を促進し、生活習慣病の原因になることもあります。
大切なのは、オメガ3とオメガ6の「バランス」、オメガ6が多すぎる現代の食卓では、意識して青魚やえごま油、亜麻仁油などのオメガ3系脂肪酸を摂ることが必要になってきます。
また、酸化しにくいオイルのオリーブオイルや米油は比較的熱に強く、調理に適しており、サラダには、加熱せずに使えるえごま油や亜麻仁油を回しかけると、風味もよく、体にも優しい一品になるのです。
カロリーよりも栄養素を
食品を選ぶとき、「カロリーはどのくらい?」と気にする方は多いかもしれません。
健康志向の高い方やダイエットを意識している人ほど、まず目に入るのがカロリー表示が気になってしまいますが、健康的な体づくりや老化予防に本当に大切なのは、「カロリーの量」ではなく「その中にどんな栄養素が含まれているか」になるのです。
たとえば、同じ200キロカロリーでも、スナック菓子とゆで卵とでは、体にもたらす効果はまったく異なります。
スナック菓子には脂質や糖質が多く、ビタミンやミネラルがほとんど含まれていない「エンプティカロリー(空っぽのカロリー)」と呼ばれるものが多くあるのです。
一方、ゆで卵にはタンパク質をはじめ、脂溶性ビタミンやミネラルなど、体に必要な栄養がしっかり詰まっており、同じカロリーでも“中身”が違えば、健康への影響も大きく異なるのです。
意識するのがビタミンやミネラルといった微量栄養素、これらはカロリーとしては計算されませんが、体の中では重要な働きを担っています。
たとえば、ビタミンB群は糖質や脂質、タンパク質などの三大栄養素をエネルギーに変えるために欠かせない存在になります。
どんなにエネルギー源を摂っていても、それをうまく使えなければ体も思ったように動かず、、ビタミンB群は体内でほとんど作ることができないため、毎日の食事から継続的に補う必要があるのです。
そのため、食事を選ぶときは「カロリーが低いから安心」ではなく、「どんな栄養素が入っているか」を意識していき、目で見て色とりどりかどうかをチェックするようにしましょう。
主菜としてタンパク源(肉、魚、豆、卵など)がしっかりあるか、そして副菜として緑黄色野菜や根菜など、さまざまな野菜が添えられているかを確認し、色合いが多いほど、栄養のバランスも整っている可能性が高まっていくのです。
また、近年注目されているのが、「主食(糖質)を控えて、良質な脂質とタンパク質を積極的にとる」食事スタイルとなり
主食を減らすことで血糖値の急上昇を防ぎ、インスリンの過剰分泌による脂肪蓄積も抑制でき、良質な脂質(オメガ3脂肪酸など)としっかりとしたタンパク質は、筋肉や臓器の維持に役立ち、免疫力の強化にもつながるので意識していきましょう。
緑黄色野菜をとる人は若い
健康的な食生活に欠かせない野菜ですが、実は「淡色野菜」と「緑黄色野菜」の2種類に分類され、それぞれに異なる特徴があり、バランスよく取り入れることが、体の内側からの若々しさを保つ秘訣になります。
厚生労働省では、1日に350g以上の野菜を食べることを推奨しており、その内訳は、「淡色野菜:緑黄色野菜=2:1」の割合が理想とされています。
淡色野菜は、キャベツや大根、レタスなどに代表され、食物繊維やカリウムを含むものが多く、体のバランスを整えてくれ
にんじん、ほうれん草、ピーマン、ブロッコリーなどに代表される緑黄色野菜は、色が濃く、ビタミンやカロテン、ポリフェノールといった抗酸化作用の高い栄養素を豊富に含んでいるのです。
とくに注目したいのが「ビタミンA・C・E」、これらは“抗酸化ビタミン”と呼ばれ、体内の活性酸素を除去し、細胞の老化を防いでくれる働きを持ち合わせ
紫外線やストレス、加齢によって体内に生じる活性酸素は、しわやたるみ、動脈硬化など、さまざまな老化現象の原因となるので、緑黄色野菜をしっかり摂ることは、体の内外の若さを保つ強力なサポートになるのです。
また、緑黄色野菜には水溶性と不溶性の両方の食物繊維が豊富に含まれており、腸内環境を整える働きも優れています。
腸内がきれいになれば、便通がよくなるだけでなく、免疫力が高まり、肌の調子も整い、便秘に悩まされがちなシニア世代にとっては、まさに毎日積極的に摂りたい食材になるのです。
さらに、旬の緑黄色野菜を選ぶことで、栄養価もグッと高まり、季節に合った野菜は、時期の気候に適した栄養素をたっぷりと蓄えており、味も濃く、体への吸収も良くなるのが特徴です。
春は菜の花、夏はトマトやピーマン、秋はかぼちゃ、冬はにんじんや小松菜など、季節ごとの緑黄色野菜を食卓に取り入れていきましょう。
腸を鍛えて病気を遠ざける
健康な体づくりに欠かせないのが「腸内環境の改善」で、私たちの腸は、ただ食べ物を消化・吸収するだけでなく、全身の免疫や心の安定にも深く関わり“健康の要”ともいえる臓器になるのです。
腸を元気にするには、日々の食生活が何よりも大切で、中でも重要な働きをするのが、野菜に含まれる「食物繊維」なのです。
野菜には、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素のほか、消化されない「食物繊維」が豊富に含まれています。
この食物繊維は、胃や小腸で消化されることなく大腸まで届き、腸内の細菌たちの“エサ”となって働いてくれます。
善玉菌は、食物繊維を発酵・分解することで短鎖脂肪酸を作り出し、腸内を酸性に保ったり、腸の動きを活発にしたりといったプラスの働きをしてくれるので、食物繊維をとることは、腸内の善玉菌を育て、腸の健康を保つことにつながるのです。
腸には、体全体の免疫細胞のうち約6割が集まっているといわれていわれ、腸内環境が乱れると、免疫バランスが崩れ、アレルギーや感染症、慢性炎症の原因になってしまう事も
その反面、腸が整っていれば、免疫力は高まり、病気にかかりにくい体をつくることができるのです。
注目したいのが腸と脳の関係で、腸内では「幸せホルモン」とも呼ばれる神経伝達物質のセロトニンのうち約9割が作られています。
このセロトニンは、心の安定や睡眠の質、ストレスへの耐性に関わっており、腸の状態が心の健康にも影響を与えることが分かっており、腸を整えることは、心の安定にもつながるのです。
食物繊維は野菜だけでなく、きのこ類や海藻類にも豊富に含まれています。
わかめやひじき、しいたけ、えのきだけなど、毎日の食事に少しずつ取り入れることで、腸内環境もより豊かになり、加熱しても栄養が残りやすいため、味噌汁や炒め物などで無理なく取り入れられるのも魅力です。
朝に果物を取り入れて食物繊維を
朝の食卓に果物を添える習慣は、健康維持のためにとても効果的になります。
「果物は糖分が多いから太る」と心配する方もいますが、果物に含まれる糖はブドウ糖や果糖が主で、血糖値の上昇が緩やかであるのが特徴で、急激に血糖値を上げることがないため、安心して取り入れることができます。
さらに、果物は栄養の宝庫でもあり、ビタミンCが豊富で抗酸化作用によって体内の活性酸素を除去し、細胞の老化を防ぐ「アンチエイジング効果」が期待できるのです。
また、果物に含まれるポリフェノールも抗酸化物質の一種、血管を守り生活習慣病の予防にもつながり、注目したいのがカリウムで、体内の余分な塩分を排出する作用があり、むくみの予防や高血圧対策にも役立ってくれます。
厚生労働省では、果物の摂取量として1日200gを目安とすることを推奨しています。
これは、りんごなら1/2個、バナナなら1本、みかんなら2個程度に相当し、朝食に1品添えるだけで無理なく達成できる量になり、朝に食べる事で果糖がすばやくエネルギーに変わるため、寝起きの体にぴったりの栄養補給になるのです。
また、果物には食事で不足しがちな「水溶性食物繊維」が豊富に含まれています。
水溶性食物繊維は腸内でゲル状になって糖や脂肪の吸収を穏やかにしたり、善玉菌のエサとなって腸内環境を整える働きを持ち、お腹の調子が良くなることで日中の活動も快適になります。
普段の食事選びで迷った時には
毎日の食事は、健康を支える大切な基盤になりますが、外食や買い物のたびに「何を食べたらいいのか」「何を選べば健康にいいのか」と迷うことも少なくありません。
そんな時こそ、シンプルな視点で食材や調理法を見直すことが大切です。
体にとって本当に必要なものを選ぶ力を身につければ、どんな場面でも安心して「勝ちごはん」を選んでいきましょう。
揚げ物を食べる時にも工夫を
揚げ物は、多くの人にとって「ごちそう」のような存在で、カリッとした食感とジューシーな味わいは食欲をそそり、つい手が伸びてしまいます。
しかし、油で揚げることでカロリーは一気に高くなり、とりすぎれば肥満や生活習慣病のリスクが増加しますが「我慢ばかり」では長続きしませんので、揚げ物を楽しむときは、少しの工夫を加えることが大切になるのです。
たとえば、ロースカツ定食のようなメニューを選ぶ際には、脇役のキャベツに注目していき、キャベツは食物繊維が豊富で、脂質の吸収を緩やかにし、腸内環境を整える働きがあります。
また、しっかり噛むことで早食いを防ぎ、満腹感も得やすくなります。
さらに、キャベツに含まれる成分「キャベジン(ビタミンU)」は胃腸の粘膜を保護し、消化を助けてくれる効果もあり、揚げ物と一緒に食べることで、体への負担を和らげてくれる心強い存在です。
揚げ物のもう一つの注意点は「酸化」、長時間加熱された油や、作り置きされた揚げ物は酸化が進み、体にとっては有害な過酸化脂質となってしまうことがあります。
そこでおすすめしたいのがレモンになり、レモンに含まれるビタミンCには強い抗酸化作用があり、酸化した脂質によるダメージを和らげてくれ、とんかつや唐揚げにレモンを搾って食べるのは、味のアクセントだけでなく健康への工夫に変わります。
また、調味料にも気を配りたいところで、とんかつソースや甘辛のタレには意外と多くの糖分が含まれており、無意識のうちにカロリーや糖質を多く摂ってしまうことがあります。
かけすぎには注意し、味わいを引き立てる程度の量にとどめることがポイントとなり、素材の味を楽しむ気持ちを持つことが、結果的に健康的な食べ方につながっていくのです。
家庭で揚げ物を作るときには、衣を薄めにして油の吸収を抑える、少ない油で揚げ焼きにする、天ぷらの具材に野菜を多く取り入れるなどの工夫をしていき、調理法を少し変えるだけでも、体への負担はぐっと軽くなっていきます。
麺類を選ぶ際にはトッピングも
手軽で食べやすい麺類は、忙しいときや食欲がないときの強い味方、麺類の選び方や食べ方を少し工夫するだけで、血糖値への影響をやわらげ、健康的な食事に変えることができます。
まず知っておきたいのが、「麺の種類によって血糖値の上がり方=GI値(グリセミック・インデックス)が異なる」ということです。
GI値とは、食後に血糖値がどれだけ早く上昇するかを示す指標で、高いほど急上昇を意味し、小麦を主原料とした白いうどんやラーメンはGI値が高く、食後血糖値が急に上がりやすい食品になるのです。
一方、そばやパスタ(特に全粒粉やアルデンテで茹でたもの)はGI値が比較的低く、血糖値の上昇を緩やかにしてくれます。
ただし、そばやパスタを選んだからといって、安心して単品でかき込むのは禁物で、大切なのは「食べ方」と「一緒に食べるもの」です。
麺類を食べる際には、まずトッピングや付け合わせを意識していき、うどんやそばに温泉卵やちくわ、鶏肉、納豆などのタンパク質を加えることで、麺だけよりも栄養バランスが整います。
さらに、わかめやとろろなどの海藻や粘り気のある食材は、食物繊維が豊富で、胃腸への負担をやわらげながら血糖値の上昇を抑えてくれるのです。
注意をするのが「食べる順番」になり、麺から先に食べると一気に糖質が吸収され、血糖値が急上昇してしまいます。
そこで、まずはトッピングの具材からゆっくり噛んで食べていき、これによって消化吸収のスピードが抑えられ、血糖値の急上昇を防ぐことができるのです。
これはパスタにも同様に言え、ナポリタンやカルボナーラのように麺だけで完結するようなメニューではなく、ミートソースにたっぷりの野菜を加えていきます。
ツナやチキンを添えたサラダ風パスタにしたりと、タンパク質と野菜を組み合わせたメニューを意識していき、ブロッコリーやトマト、キノコなどを加えることで、食物繊維も補え、満足感もアップしていくのです。
外食はタンパク質ファーストで
忙しい日々の中では、外食やコンビニ、スーパーのお惣菜を利用することも多くなり、そんなときこそ意識したいのが「タンパク質ファースト」の考え方
つまり、何を食べるか迷ったときは、まずタンパク質がしっかり摂れるものを選ぶという視点を持つことが重要になります。
たとえば、コンビニやスーパーでおにぎりを選ぶ場合でも、具材によって摂れる栄養素は大きく変わります。
昆布や梅なども美味しい選択肢ではありますが、より栄養バランスを考えるなら、まず魚や肉、卵、大豆などが入ったものを選んでいきましょう。
特に、鮭や鯖のおにぎりは、良質な動物性タンパク質に加え、オメガ3脂肪酸やビタミンDなども含まれており、シニア世代の健康を支える栄養素が詰まっているのです。
納豆巻きやいなり寿司といった、大豆製品を使ったものも非常に優れ、大豆に含まれる植物性タンパク質をはじめ、腸内環境を整える食物繊維や抗酸化作用のあるイソフラボン、ビタミンB群などを効率よく摂取することができます。
女性にとっては、更年期のサポートや骨の健康にも効果があるとされているため、積極的に取り入れたい食品に
また、サンドイッチを選ぶ場合も、具材選びが大切で、卵サンドは、良質なタンパク質と脂質、ビタミンA・D・Eなどの脂溶性ビタミンが摂れる便利な選択肢になります。
できれば野菜が一緒に入ったタイプや、チキンやツナが入ったものを選ぶと、さらに栄養バランスが整い、炭水化物中心になりがちな外食や中食では、野菜の補給も忘れてはいけません。
おにぎりやパンを選んだときは、別にカップサラダをプラスしていき、海藻や豆、卵、チキンなどのタンパク質が入ったサラダを選ぶと、満足感も高まり、食後の血糖値の上昇も抑制する事ができます。
お肉の種類で栄養素が変わる
タンパク質の代表格が「お肉」、お肉は体内で利用されやすいアミノ酸のバランスに優れ、筋肉や臓器、ホルモンなどを構成する土台になります。
しかし、豚・牛・鶏といった種類ごとに栄養素には特徴があり、どれか一つに偏らず、バランスよく取り入れることが大切になるのです。
まず、豚肉は「疲労回復の味方」ともいえるビタミンB1が豊富で、糖質をエネルギーに変える働きがあり、日常の疲れやだるさを感じるときには積極的に摂りたい食品です。
特に、ヒレやももなど脂身の少ない部位を選べば、ヘルシーに栄養を取り入れることができます。
一方で、鶏肉は脂質が比較的少なく、消化にも良いため胃腸が弱っているときやシニア世代にもおすすめになり、鶏肉には皮の部分に脂肪が多く含まれているため、皮を取り除くことで脂質を抑えることができるのです。
ビタミンB2は皮膚や粘膜の健康に関わり、ビタミンAは免疫力の維持に役立つ重要な栄養素になります。
牛肉は鉄分と亜鉛の宝庫で、鉄は貧血予防に、亜鉛は味覚や免疫機能の維持に関係しています。
どちらも不足しやすい栄養素なので、意識して取り入れたいところですが、牛肉は脂質が多く含まれる部位もあるため、赤身中心に選ぶと健康的、もも肉やヒレ肉などが脂質の少ない部位としておすすめです。
このように、お肉の種類によって摂れる栄養素には違いがありますが、いずれも健康に欠かせない大切な要素を含んでいます。
ただし、注意したいのは、食事がお肉だけに偏ってしまうこと、動物性タンパク質は質の良い栄養源ですが、魚、卵、大豆製品といった他のタンパク源も忘れずに取り入れることで、栄養バランスが整っていくのです。
魚ができるだけ刺身で
魚は体に優しい良質なタンパク源として重要になり、青魚に多く含まれる「オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)」は、体の中でつくることができない必須脂肪酸で、健康を守る力に優れた成分として注目されています。
オメガ3脂肪酸には、血液をサラサラにして血栓の予防をはじめ、高血圧や中性脂肪の抑制、動脈硬化の改善など、生活習慣病の予防に関与する働きを持ち合わせています。
さらに、脳神経の働きをサポートするDHAは、記憶力や認知機能の維持にも重要とされており、加齢による認知症予防の観点からも積極的に摂りたい成分です。
ただし、オメガ3脂肪酸にはひとつ大きな弱点があり、それは「酸化しやすい」という性質で、熱や光、空気に弱く、調理の際に高温で加熱すると壊れやすくなってしまうため、せっかくの健康成分が十分に摂れなくなってしまうことも。
だからこそ、できるだけ「お刺身」で食べていき、調理での損失が少ない状態で、体に優れた脂質を取り込むことができます。
焼き魚として食べたいときは「切り身」ではなく「一尾まるごと」で調理するのが理想的になります。
頭や皮、内臓まわりには栄養が多く含まれており、全体を使って焼くことで風味も増し、栄養素のロスも抑制、煮魚よりも焼き魚の方が油の吸収が少ない分、ヘルシーに仕上げる事ができるのです。
青魚のほかに、白身魚も食事に取り入れ、たとえばタラ、カレイ、鯛などは、脂肪が少なく消化に優れており、胃腸の弱い方や体調を整えたいときには最適食材に
しかも、白身魚は比較的価格が安定しており、お財布にも優しいのが魅力の一つ、高タンパクで低脂質な白身魚は、日々の「勝ちごはん」の一品として安心して取り入れられます。
魚料理を選ぶ際には、できるだけ刺身や一尾焼きを意識しながら、体に負担なく、しっかり栄養を取り込める工夫をしていきましょう。
ビタミンAは油でパワーアップ
にんじんは、彩りだけでなく栄養価の面でも優れた野菜で、含有量が多いビタミンA(正確には体内でビタミンAに変わるβカロテン)には、粘膜の保護や視力の維持、免疫力の向上などに役立ちます。
シニア世代にとっては、風邪や感染症予防、目の健康維持にうれしい効果が期待できる栄養素になります。
しかし、このビタミンAはただ食べるだけでは効率よく吸収されず、ビタミンAは「脂溶性ビタミン」に分類されるため、油と一緒に調理することで吸収率が高まる性質を持っているのです。
にんじんを油で炒めたり、ドレッシングとあえたりすることで、体により効果的に取り込むことができるのです。
おすすめなのはオリーブ油を使った調理法、オリーブ油にはビタミンEやオレイン酸といった抗酸化力のある成分も含まれており、ビタミンAとの相乗効果が期待できます。
シンプルににんじんのきんぴらや、軽く炒めたサラダなどにすることで、栄養を逃さず美味しく食べられます。
注意をするのが、ビタミンには「脂溶性」と「水溶性」があり、脂溶性ビタミンA、D、E、Kといったもので、油に溶けやすく、油と一緒にとることで吸収が高まるのです。
一方、水溶性ビタミン(ビタミンB群やC)は水に溶け出しやすいため、長時間水にさらしたり、煮過ぎたりすると大切な栄養素が失われてしまいます。
水溶性ビタミンを上手に摂るには、野菜スープのように煮汁ごといただく調理法や、短時間の蒸し調理などがおすすめとなり、ブロッコリーや小松菜なども、さっと茹でて水にさらさず、そのまま和え物にするだけでも栄養を逃さずに済むのです。
にんじんをはじめとした緑黄色野菜はビタミンの宝庫、それぞれのビタミンの性質を理解して調理することで、栄養をしっかりと無駄なく取り込むことができ、体に良いものは、調理の工夫でさらに効果を発揮できるのです。
いつでも食べれるタンパク質を
毎日きちんとした料理を作るのは難しいもので、体調が優れない日や、忙しくて調理の時間が取れないとき、頼りたくなるのが冷凍食品やレトルト食品
ただし、これらの加工食品は便利な反面、糖質が多くタンパク質が少なめな傾向にあり、健康を意識するなら「いつでも食べられるタンパク質源」をストックしておくことが大切です。
常備しておきたいのが、ツナ缶やサバ缶などの魚の缶詰になり
これらは開けるだけで手軽に良質なタンパク質が摂れるうえ、EPAやDHAといったオメガ3脂肪酸も含まれており、生活習慣病や脳の健康をサポートしてくれるのです。
味つきのものよりも、水煮や油漬けタイプを選ぶと、塩分や脂質のコントロールもしやすくなります。
植物性タンパク質を補うなら、大豆製品の「粉末おから」をストックしておき、粉末おからは、水やスープで戻すだけで使え、食物繊維も豊富に含まれています。
また、「高野豆腐」も栄養価が高く、タンパク質とカルシウムが多く含まれ、水で戻して煮物にするだけで立派な一品になりますし、刻んでサラダに加えることもできます。
さらに、腸を整えるために食物繊維を補いたいときには、「カットもずく」や「めかぶ」、「とろろ昆布」といった海藻類が便利になります。
これらはパックのままそのまま使えるものが多く、汁物やサラダ、ごはんに加えるだけで栄養素が高まり、手間をかけずに食物繊維やミネラルを摂れるので、ストックしておくと重宝するのです。
また、最近では「冷凍の野菜」も種類が豊富になっており、ブロッコリーやほうれん草、カリフラワーなどは、凍ったままスープや炒め物に使えるので、常に冷凍庫に入れておきたい一品です。
食物繊維、ビタミン、ミネラルを手軽に補える上、無駄もなく長持ちするので経済的にも優れています。
調理に時間がかけられない日こそ、こうした「備え」が役に立ち、冷蔵庫や棚の中に、いつでも使えるタンパク源と野菜を用意しておくことで、忙しい日でも栄養バランスのとれた食事が可能になります。
お酒を飲む時の選び方
お酒はコミュニケーションの潤滑油として楽しまれる一方で、健康管理には注意が必要な存在
とくにシニア世代では、代謝や内臓機能の変化により、若いころと同じような飲み方が体に負担をかけてしまうこともあります。
体にやさしく、楽しみながら付き合えるお酒の選び方と飲み方の工夫についてお伝えしていきます。
お酒を飲む前に牛乳を飲んでいく
お酒を飲む機会は、友人や家族との交流の場として楽しい時間になりますが、お酒の摂取が体に与える影響は意外と大きく、年齢を重ねたシニア世代では、少量でも負担になることがあります。
そこでおすすめしたいのが、「飲む前の準備」。その中でも、牛乳やヨーグルトなどの乳製品を取り入れることが体を守る鍵となります。
牛乳を飲むことで、胃の粘膜に膜が張られ、アルコールが胃に直接触れるのを防いでくれ
この“クッション”のような役割によって、胃への刺激がやわらぎ、アルコールの吸収スピードも緩やかになり、胃もたれや悪酔いを防ぐうえで、とても効果的になるのです。
さらに、乳製品に含まれるタンパク質は、肝臓でのアルコール代謝をサポートし、お酒が体内に入ると、肝臓ではまずアルコールが「アセトアルデヒド」という有害な物質に分解されます。
このアセトアルデヒドが頭痛や吐き気など、いわゆる二日酔いの原因になるのですが、ここで肝臓の働きを助けてくれるのが、タンパク質やビタミンB群となり、乳製品はそれらを手軽に摂取できる食品になっていくのです。
また、乳製品以外にも、飲み会の前に軽く「枝豆」や「豆腐」をつまんでいくと、植物性タンパク質が豊富に含まれており、肝臓をサポートしてくれ、お腹に少し食べ物が入るだけでも、アルコールの吸収はゆっくりになり、体への負担が軽減されます。
そして、忘れてはならないのが「水分補給」、お酒を飲むと利尿作用が働き、体内の水分が急速に失われます。
いわゆる「チェイサー」として水をこまめに飲む習慣をつけ、脱水症状や翌朝の頭痛を予防していきましょう。
お酒の糖質量にも注意が必要に
お酒を楽しむ際、アルコール度数や飲み過ぎだけでなく「糖質量」にも目を向け、糖質を控えたい方や血糖値を気にしている方にとっては、どの種類のお酒を選ぶかが健康管理の鍵を握るのです。
お酒は大きく分けて、蒸留酒・醸造酒・混成酒の3つに分類され、それぞれの製法の違いにより、含まれる糖質量が大きく変わるのです。
たとえばビールや日本酒、ワインは「醸造酒」に分類、原料に含まれる糖分が発酵の過程で残りやすいため、糖質量が比較的高くなります。
特にビールは、酵母やホップなど体に良い成分も含んでいますが、糖質が多くなるので注意が必要
カクテルや果実酒といった「混成酒」にも注意し、甘みを加えるために砂糖やシロップが多く使用されており、知らず知らずのうちに多くの糖質を摂取してしまう恐れがあります。
こうしたお酒を食事と一緒に楽しむと、つい糖質の摂りすぎになってしまうこともあり、お酒やおつまみに含まれる糖質が積み重なれば、血糖値の急上昇や内臓脂肪の蓄積につながってしまうのです。
そこで「蒸留酒」を中心にした酒を選んでいくようにし、焼酎やウイスキー、ジン、ウォッカなどは蒸留によって糖分が取り除かれており、糖質がほぼゼロに近いのが特徴です。
これらを水やお湯、炭酸水で割ったり、レモン汁を加えたりすることで、スッキリとした味わいで楽しむことができ糖質の過剰摂取も気にせず堪能できるのです。
しかし、甘いお酒が好きな方は、無理に蒸留酒を飲まずに、おつまみの糖質量を意識して調整してみましょう。
ポテトや揚げ物などの炭水化物を減らし、枝豆、豆腐、チーズ、海藻類などの低糖質で栄養価の高い食品に置き換えることで、全体のバランスを保つことができるので意識をしていきましょう。
おつまみ選びで肥満の対策も
お酒を楽しむ時間に欠かせないのが「おつまみ」、しかし、選び方を誤ると、知らず知らずのうちに肥満の原因になったり、アルコールの代謝を妨げたりすることがあるのです。
まず定番の「枝豆」、これはおつまみの中でも非常に優秀で、植物性タンパク質が豊富で、さらにビタミンB₁がしっかり含まれています。
ビタミンB₁はアルコールの分解に欠かせない栄養素で、これが不足すると肝臓での代謝が滞り、アセトアルデヒドなどの毒素が体に溜まりやすくなってしまい、翌日の疲労感や二日酔いにもつながります。
他にも大豆製品を使ったおつまみで、冷奴や厚揚げ、納豆などは手軽に用意でき、タンパク質と食物繊維を効率よく補うことができます。
また、豚肉やレバーもビタミンB₁が豊富で、体内のアルコール分解をサポートしてくれ、レバーは鉄分やビタミンAも多く、貧血気味の方や疲れやすい方にはうれしい食材になるのです。
栄養素で注目するのが「ナイアシン」と「亜鉛」の2種類、ナイアシンはアルコールの分解過程に深く関わっており、不足するとアルコールの代謝が滞り、肝機能に負担をかける可能性があります。
ナイアシンはかつお、まぐろ、鶏むね肉、きのこ類などに多く含まれます。
亜鉛は味覚を正常に保ち、免疫力を維持する働きに加えて、アルコールによって失われやすいミネラルで、牡蠣、牛肉、卵、ナッツ類などから補いましょう。
肥満対策の観点でも、おつまみは重要となり、フライドポテトやスナック菓子のような高脂質・高糖質なものを避け、タンパク質とビタミン・ミネラルの豊富な食材を選ぶことで、満足感を保ちながら過剰摂取を防ぐことができるのです。
アルコールを分解するタウリンも
アルコールを分解するために欠かせない栄養素の一つが「タウリン」
タウリンは肝臓の働きを助け、アルコールの代謝をスムーズにしてくれる成分として知られ、お酒を飲む機会が多い方や、肝臓への負担が気になるシニア世代には意識的な摂取が勧められます。
タウリンを手軽に補える食品の一つが「するめ」、無塩タイプのするめは咀嚼回数が増えることで満腹感も得られ、食べすぎ防止にも繋がります。
加えて、良質なタンパク質とともにタウリンも摂取できるため、お酒のおつまみとして最適、塩分の摂りすぎに気をつけながら、体に優しい一品として取り入れてみましょう。
メンタルも一緒に正していく
健康的な食生活は、体だけでなく心にも大きな影響を与え、ストレスや不安を抱えやすい現代において、メンタルの安定は日々の食べ方から整えていくことが大切になるのです。
栄養バランスを意識した食事は、脳や神経の働きを支え、前向きな気持ちを保つ力にもなります。
心と体の両面から元気を支える「勝ちごはん」のヒントをご紹介していきます。
朝に幸せの原料を食べていく
メンタルを整えるためには、毎日の「朝ごはん」が重要な役割を果たし、朝の目覚めや一日の気分の波に大きく影響を与えるため、朝食の内容を見直すことが心の健康維持を大きく左右します。
朝食を食べる事で重要になるのが「体内時計」のリセットで、私たちの体は、光と食事によって日内リズムが整えられます。
朝の光を浴び、朝食をしっかり摂ることで、眠っていた体と心が目覚め、スムーズに一日を始められるようになり、集中力や意欲も増加し前向きな気分を保ちやすくなるのです。
さらに、朝ごはんは「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの材料を作る大切な時間でもあります。
セロトニンの生成には、必須アミノ酸の「トリプトファン」、それを代謝する「ビタミンB6」、そして少量の「糖質」が必要です。
これらを朝にきちんと摂ることで、セロトニンが日中しっかり働き、夜には睡眠ホルモンのメラトニンに変換されて、良質な睡眠に関係してくるのです。
この3つの栄養素をバランスよく含む優秀な食材が「バナナ」になり、バナナはトリプトファンやビタミンB6、適度な糖質に加え、現代人に不足しがちなミネラル「マグネシウム」も含まれています。
マグネシウムは神経の興奮を鎮める働きがあり、ストレスの緩和にも効果を発揮、朝にバナナ1本をプラスするだけで、心と体の土台を整えるために必須の食材になるのです。
また、朝から目覚めが悪い、だるさが抜けないという場合は、ビタミンやミネラルが不足している可能性があります。
ビタミンB群、C、マグネシウム、鉄分などは、脳や神経の働きと密接に関係しており、不足すると気分の落ち込みや集中力の低下を招きやすくなり、野菜や果物、発酵食品、ナッツ類なども朝食に取り入れると、栄養のバランスが整いやすくなります。
朝は一日のリズムを作るスタートライン、「朝に何を食べるか」がメンタルにも大きく影響し、少しずつでも、心と体にやさしい習慣を積み重ねていきましょう。
ストレスにはビタミンCでケア
ストレス社会といわれる現代、生活の変化や健康不安、人間関係など、さまざまな場面でストレスを感じる機会が増えてきます。
そんなとき、心と体をサポートしてくれるのが「ビタミンC」、ビタミンCは、ストレスに対抗するために必要な副腎ホルモンの合成を助ける重要な栄養素
ストレスを感じている人ほど、体内でのビタミンCの消耗が激しくなり、不足しやすい傾向があるのですが、ビタミンCをしっかりと補っておくことで、ストレスへの抵抗力を高め、疲れやイライラ、不安感の軽減につながる可能性があります。
厚生労働省が定めるビタミンCの1日推奨摂取量は100mgですが、ストレスが多いと感じる方やタバコを吸う方、慢性的に疲れを感じている方は、意識して多めに摂取していきましょう。
過剰分は尿として排出されるため、基本的には過剰摂取の心配も少なく、こまめな補給が理想になっていくのです。
食事で取り入れるなら、まずおすすめなのは朝のフルーツで、キウイ、いちご、オレンジ、グレープフルーツなどには豊富なビタミンCが含まれており、朝の1品として取り入れることで、心も体もリフレッシュできます。
その中でもキウイは、1個で1日の推奨量をカバーできるほど含有量が高く、便通改善や抗酸化作用も期待ができるのです。
さらに、緑黄色野菜を摂るように意識していき、ブロッコリー、ピーマン、パプリカ、菜の花などは加熱してもビタミンCが比較的残りやすく、食事のメインや副菜に取り入れやすい食材で、サラダにしても、スープに加えても栄養がしっかり摂れます。
夜の睡眠は日々の栄養素から
良質な睡眠は、体と心を整えるうえで欠かせません。
年齢を重ねるごとに眠りが浅くなったり、寝つきが悪くなったりするという声も多く聞かれますが、その背景には「ホルモンバランス」と「栄養の偏り」が大きく関係し、眠りを導くホルモンである「メラトニン」の働きが重要になります。
メラトニンは、朝の光を浴びたあとに脳内で作られる「セロトニン」が夕方から夜にかけて変化していくことで生成され、この変化をスムーズに促す栄養素が「マグネシウム」になるのです。
マグネシウムは、セロトニンからメラトニンを合成する際に不可欠なミネラルで、神経を落ち着かせる作用もあり、不安やイライラをやわらげ、自然な眠気を促してくれます。
しかし、現代の食生活では、加工食品の摂取や野菜不足により、マグネシウムが不足しがちで、ストレスが多い人ほど体内での消耗が激しくなるため、意識して補うことが大切です。
マグネシウムを多く含む食品としては、海藻類(わかめ、ひじき)、豆類(大豆、あずき)、種実類(ごま、アーモンド)、そして青菜(ほうれん草、小松菜)などが挙げられ、夕食にこれらを取り入れることで、夜のメラトニン生成をスムーズに促し、深い眠りにつながっていくのです。
また、マグネシウムだけでなく「カルシウム」とのバランスも見逃せず、カルシウムには神経の興奮を抑える働きも持ち合わせます。
マグネシウムと協力し合うことでより効果的に心身をリラックスさせ、理想的な摂取比率は、「カルシウム2:マグネシウム1」とされ、意識をして取り込んでいきましょう。
夕方以降はカフェインの摂取を控えめにし、消化に負担の少ない軽めの食事を心がけることで、より質の高い眠りに近づき、温かいスープやハーブティーなどで体を温めることで自然とした入眠を誘います。
まとめ:小さな意識で元気な毎日を送ろう
私たちの体は、日々食べているものでつくられ年齢を重ねた今こそ、毎日の食事が自分自身をどう支えているのかを見つめ直すことが、健康への第一歩になります。
本書では、カロリーばかりを気にするのではなく、どんな栄養素を、どんなタイミングで、どのように摂るかに着目し、日々の食卓を整える具体的なヒントをご紹介していきました。
糖質は控えすぎず適量を意識し、食物繊維やビタミンを含む未精製の穀類を取り入れることが大切になっていきます。
日々、タンパク質は毎食意識し、肉や魚、卵、大豆製品などを組み合わせながら取り込み、油も「悪者」ではなく、選び方と量を工夫すれば、体にとって大切な栄養源になります。
野菜や果物は、ビタミン・ミネラル・抗酸化物質など、体を内側から整える栄養が豊富で、腸内環境を整える食材や、心の健康をサポートする栄養素も取り入れながら、シンプルながらも質の高い「勝ちごはん」を習慣にしていきましょう。
また、お酒やおやつといった楽しみも上手に選び、食べるタイミングや一緒に摂るものを工夫すれば、健康と両立できます。完璧を求める必要なく、小さな「できた」の積み重ねが健康の近道になっていくのです。
「食べること」は、明日を作る力になり、今日も明日もシンプルであたたかい食事を自分に贈っていき、それがきっと、長く元気に過ごすための何よりの秘訣になるはずです。

最後まで見ていただきありがとうございました。
↓終活で分からない事や迷子になったら↓
このブログでは終活に関する質問・相談を募集しています
LINE:https://line.me/ti/p/ww2MnljFmV
インスタ:https://www.instagram.com/takusyukatu0125/
アマゾンで本を出品しています

- 【毎日快眠を】睡眠の質を上げる習慣 老化知らずの生活心身共に活性化を1
- 【食事を変える】血栓を作らない健康習慣 リスクを減らす生活リズム血栓ゼロライフを3
- 【食材で対策】血栓を作らない健康習慣 リスクを減らす生活リズム 血栓ゼロライフを2
- 【突然死を防ぐ】血栓を作らない健康習慣 リスクを減らす生活リズム 血栓ゼロライフを1
- 【キャベツの力】置換えキャベツで激変 中性脂肪を減らす食事術重病知らずの体作り
20
コメント