はじめに
現代人の脳には、気づかぬうちに「毒」が溜まっており、加工食品に含まれる添加物、過剰な糖質、慢性的なストレス、睡眠不足など
これらが日々少しずつ脳に負担をかけ、活性酸素や老廃物、炎症物質として蓄積されていきます。
この“毒”は若いころからじわじわと溜まりはじめ、歳を重ねるにつれ認知力の低下や感情の不安定、物忘れといった形でその牙をむくのです。
しかし、あきらめる必要はありません。今日から食事を少しずつ変えていくだけで、脳から毒を出し、クリーンで冴えた状態を取り戻すことができます。
大切なのは、無理なく、楽しく、毎日の食事の中に“脳にやさしい”工夫を取り入れることです。この本では、そのための具体的な方法をわかりやすく紹介していきます。
脳の健康寿命を延ばしていく
脳も体も健康なままで歳を重ねていく、それこそが本当の意味での“健康長寿”になり、いくら長生きしても、脳が衰えてしまっては人生の質は大きく損なわれます。
実際、認知症のリスクは高齢者だけの問題ではなく、40〜50代からすでに静かに始まっていることもあるのです。
長寿と健康はセットで考えるべきであり、とくに脳の健康を守ることが、人生をいきいきと楽しむための最も重要なカギになるので、今からできる食事や生活習慣の工夫が、将来の脳の明暗を分けていきます。
認知機能低下のサインは物忘れから
40代を過ぎたあたりから、「あれ?何をしようとしてたんだっけ?」「昨日の夕食、何食べたかな?」「あの人の名前、なんだったかな?」といった物忘れが増えてきたと感じる人は少なくありません。
こうした一見ささいな記憶の曖昧さは、加齢の自然な変化として捉えられがちですが、実は認知機能低下の初期サインであることもあるのです。
とくに、人の名前と顔を一致させることが難しくなったり、行き慣れた場所で迷うことが増えたりするのは、単なるうっかりミスとは違う可能性があり
若い頃と同じようなペースで脳が働いていれば、こうした物忘れは起こりにくいものです。
それにもかかわらず、「あれ」「それ」と言葉が出てこない場面が増えたり、探し物ばかりしているようになったら、それは脳からの小さな警告かもしれません。
しかし、認知症にも段階があり、いきなり進行するわけではなく、その前段階として「MCI(軽度認知障害)」と呼ばれる状態が存在します。
MCIはまだ認知症とは言えないものの健常な状態との中間にあり、記憶力や注意力に明らかな低下が見られる状態があるのです。
このMCIの段階であれば、生活習慣の改善や食事の見直し、適度な運動などで進行を食い止めることが可能で、生活に大きな支障をださずに済むのです。
つまり、「最近物忘れが増えたな」と感じたら、それは見過ごしてはいけないサイン、脳の健康寿命を延ばすための行動を今すぐ始めるチャンスでもあります。
認知症を加速させる毒素達
認知症の発症に深く関わっているのが、脳に蓄積する「アミロイドβ」と呼ばれるタンパク質。
この物質が脳内に溜まり神経細胞の働きを妨げてしまい、やがて死滅させていくことで、記憶や判断力の低下を引き起こすのです。
残念ながら、現時点では認知症に対する特効薬は存在しておらず、進行を完全に止めることは難しいのが現実。
しかし、認知症を「加速」させてしまう原因には共通の要素があり、それが「炎症」「栄養不足」「毒素」の3つになります。
まず、慢性的な炎症は、アミロイドβの蓄積を助長し、脳内環境を悪化させ、次に、脳の働きを支えるビタミンやミネラル、オメガ3脂肪酸などの不足は、神経細胞の修復力を低下させ、認知機能を脆弱にします。
そして、最後に有害な毒素、たとえば食品添加物、重金属(鉛・水銀)、過剰な糖質が脳にストレスを与え、老化を早めていきます。
この3つの要因を脳から取り除くことが、認知症予防と進行抑制に重要になってくるのです。
脳に毒が溜まってしまうのか
脳は、私たちの体全体に指令を送る司令塔のような存在となり、体温の調節、心臓の鼓動のリズム、内臓の動き、ホルモンバランスの維持など、あらゆる生理機能をコントロールしているのです。
私たちが意識しなくても生きていられるのは、すべてこの脳の働きによるもので、非常に重要な器官なため、脳は外部からの有害物質を防ぐ強力なバリアを備えており
それが「血液脳関門(けつえきのうかんもん)」と呼ばれる仕組みになります。
血液脳関門は、脳の毛細血管に特殊なフィルターのような構造を作り、ウイルスや細菌、有害物質が脳に入らないように日々守っています。
基本的には、ブドウ糖やケトン体など、脳に必要な限られた物質だけを通し、それ以外のものは遮断していき、この構造のおかげで、私たちの脳は清潔で安定した環境を維持することができているのです。
しかし、現代の生活習慣には、この血液脳関門の防御力を徐々に弱めてしまう危険性が潜んでいます。
たとえば、過剰な糖分摂取や加工食品に含まれる添加物、慢性的な睡眠不足、ストレス、喫煙や過度な飲酒などが続くと、血液脳関門が炎症を起こし、働きが鈍感に
その結果、通常なら脳に入らないはずの有害物質がすり抜けてしまい、脳に「毒」が溜まりやすくなってしまうのです。
このような毒素の侵入は神経細胞の働きを低下、認知機能の劣化を招いたりする原因になり、年齢を重ねるほど、脳の防御機能は衰えやすくなるため、生活習慣や食事内容がますます重要になってくるのです。
脳に毒が溜まると体にも異変が
脳に毒が溜まると、その影響は脳の中だけにとどまらず、全身にさまざまな異変をもたらします。
まず最初に現れるのは記憶力や思考力の低下、たとえば、すぐに物事が思い出せなくなり、説明された内容がうまく理解できないといった「認知の鈍さ」が目立ち始めます。
これは、神経細胞がスムーズに情報を伝え合えなくなっている証拠で、脳内に蓄積した毒素がその働きを妨げているのです。
また、脳は体内のホルモン分泌をコントロールしている司令塔的な存在
毒素によって視床下部や下垂体の機能が低下すると、インスリンや成長ホルモン、女性ホルモン(エストロゲン)、男性ホルモン(テストステロン)、さらには甲状腺ホルモンなどの分泌が乱れてしまいます。
これにより、代謝のバランスが崩れ、疲れやすさ、冷え、体重の増減、気分の浮き沈みなどが起こりやすくなります。
さらに、こうしたホルモンバランスの乱れや脳の指令系統の障害は、高血圧や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病とも深く関係し、脳が内臓や血管に正確な指令を出せなくなることで、血圧の調節がうまくいかず、脂質の代謝も滞りやすくなってしまうのです。
歯周病菌も影響してくる
口の中は、体の中でも特に多くの細菌が生息している場所で、その中でもとくに問題になるのが「歯周病菌」です。
歯周病は、歯ぐきに炎症が起き、進行すると歯を支える骨まで破壊してしまう病気ですが、その影響は口内にとどまらず、全身の健康にも深く関わっています。
実際に、歯周病は心臓病、脳卒中、糖尿病、さらには認知症などのリスクを高めることがわかってきています。
歯周病が怖いのは、炎症によって歯ぐきの粘膜が傷つくことで、細菌が血管内に侵入でき、侵入した細菌は血流に乗って全身を巡り、さまざまな臓器にダメージを与えます。
中でも注目すべきは、歯周病菌のひとつ「ジンジバリス菌」の存在、この菌は非常に厄介で、血液脳関門(血液から脳を守るフィルター)をすり抜ける力を持っています。
つまり、通常であれば脳に到達しないはずの細菌が、このジンジバリス菌を通じて脳内に入り込んでしまう可能性があるのです。
このようにして侵入した細菌が脳内で炎症を引き起こすと、認知機能の低下やアルツハイマー型認知症のリスクを高める原因になると考えられ
口の中の炎症が、血管を通じて脳に影響を与えるというのは、一見するとつながりがなさそうですが、実は非常に密接な関係にあるのです。
だからこそ、歯周病の予防は「口の中だけの問題」ではなく、「全身と脳の健康を守る第一歩」とも言えるのです。
毎日の歯磨きやデンタルフロスの使用はもちろんのこと、歯科医院での定期的な検診を受けることが非常に重要で、早期発見・早期治療が歯周病の進行を防ぎ、結果として体と脳を守ることにつながります。
深刻な腸漏れも注意が必要に
最近注目されている「リーキーガット症候群(腸漏れ)」は、腸内環境の悪化によって腸の壁に小さな隙間ができ、そこから本来体内に入るべきでない物質が漏れ出す状態を指します。
普段の食生活で摂る食品添加物や高脂肪食、ストレス、アレルギー反応、さらには抗生物質の多用などが原因となり、腸壁のバリア機能が低下してしまいます。
すると、未消化の食べ物のカスや細菌、ウイルス、有害物質などが血管内に入り込み、全身を巡ります。
とくに問題なのは、それらが脳にまで到達し、炎症や認知機能の低下を引き起こす可能性があることです。
腸は“第二の脳”とも呼ばれるほど重要な器官であり、腸の健康を守ることが脳と体全体の健康を守ることにつながるのです。
腎臓と肝臓の働きにも影響
脳の健康を守るには、脳だけに注目するのではなく、体全体、とくに「解毒」に関わる臓器のケアが欠かせず、その代表が「腎臓」と「肝臓」、どちらも、体内に溜まった毒素を排出するための重要な働きを担っています。
まず腎臓は、体中の血液から水分を集めて濾過(ろか)し、不要な老廃物や余分な塩分などを「尿」として排出をします。
濾過された血液は、きれいな状態で再び全身を巡るため、腎臓が正常に働いていれば、体内に毒素が溜まることはありません。
また、必要な成分はしっかり体内にとどめるなど、絶妙なバランスで体の浄化を行ってくれているのです。
そして、肝臓は「解毒」と「代謝」の司令塔のような役割を持っており、肝臓はアルコールの分解はもちろん、薬、食品添加物、化学物質、さらには体内で発生した細菌や毒素など、あらゆる有害物質を処理をしています。
また、脂肪や糖の代謝、たんぱく質の合成、そして消化に必要な胆汁の生成など、多くの生命活動を支えているのです。
この腎臓と肝臓が健康であれば、体内の毒素はしっかり処理され、血液はきれいなまま保たれます。
つまり、血液を通じて栄養や酸素が脳に届くとき、同時に有害な毒素が運ばれてしまうリスクを最小限に抑えることができるのです。
反対に、腎臓や肝臓が疲れていたり、機能が低下していると、毒素が血液中に残ったまま脳に届いてしまい、脳に負担がかかりやすくなってしまいます。
脳の毒をためないためには、まずこの2つの臓器をしっかり労わることが大前提になり
バランスの良い食事、水分の十分な摂取、過度なアルコールや薬の摂取を避ける、ストレスを溜めないといった基本的な習慣が、腎臓と肝臓の負担を軽減し、結果として脳を守ることにつながるのです。
脳に毒を入れない食事術
「脳に毒を入れない食事術」になり、私たちの食卓には、一見普通に見えても脳に悪影響を及ぼす“隠れた毒”が潜んでいます。
食品添加物や過剰な糖質、トランス脂肪酸などは、知らぬ間に脳の炎症や老化を進める要因となるのです。
ここでは、脳を守るために避けたい食べ物や、逆に脳の解毒を助ける食材を食べていき、毎日の食事から、脳に毒を入れないための賢い選択を身につけていきましょう。
糖質制限が脳に毒を入れない方法
糖質を控える食事は、脳に毒をためないために非常に有効な食事法といえます。
過剰な糖質は、体内でタンパク質と結びついて「AGEs(終末糖化産物)」という有害物質を作り出すのです。
AGEsは体の老化を進めるだけでなく、脳にも悪影響を及ぼし、神経細胞を傷つけたり、炎症を引き起こすのです。
とくにアルツハイマー病の患者の脳には、このAGEsが多く見られることから、認知症との関連も深いと考えられています。
また、糖質を多く摂り続けていると、血糖値が慢性的に高くなり、インスリンというホルモンが効きづらくなる「インスリン抵抗性」が生じます。
これは、インスリンがうまく働かず、血糖を細胞に取り込めなくなる状態で、脳の神経細胞へのエネルギー供給も不安定になってしまうのです。
実はインスリンには、脳内での記憶や学習に関わる重要な役割があり、その働きが悪くなることで認知機能が低下するリスクが高まります。
このインスリン抵抗性の原因としては、糖質のとりすぎに加え、肥満や運動不足などの生活習慣も深く関わっていくので早期の改善が必要になるのです。
白米を玄米に変えていく
糖質を減らすことは、脳に毒をためないための重要な食事法ですが、同時に「糖質でお腹を満たしすぎない工夫」も求められます。
つい手軽でおいしい白米を中心に食事を組み立ててしまいがちですが、ここを「玄米」に変えることで、大きな健康効果が期待できます。
玄米と白米は、実はカロリーや糖質の量自体に大きな違いはありませんが、玄米は精製されていないぶん、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富に含まれており、食後の血糖値の上昇を緩やかにしてくれます。
これは、急激な血糖値の変化を防ぎ、インスリンの過剰分泌や脳への負担を減らすことにつながり、結果として脳の老化を防ぎ、認知機能の低下も抑制できるのです。
さらに、玄米は現代人に不足しがちな栄養素である亜鉛、カルシウム、カリウムなどを自然な形で摂取できる貴重な主食になり
これらのミネラルは神経の働きを助けてくれ、脳内の電気信号をスムーズに流す役割を果たしています。
また、玄米に含まれる食物繊維は腸内環境を整えるだけでなく、よく噛むことで満腹中枢が刺激され、食べ過ぎの防止にもつながり、噛む回数が増えることは脳の血流を良くし、記憶力や集中力の向上にも一役買ってくれるのです。
ただし、玄米を取り入れるうえで注意すべき点もあり、それは「残留農薬」、玄米は表面のぬか層がそのまま残っているため、農薬の影響を受けやすいのです。
健康のために玄米を食べていても、農薬を一緒に取り込んでしまっては本末転倒になるので、購入の際は、「無農薬」や「減農薬」と表示されたものを選ぶようにしていきましょう。
米以外の糖質にも要注意を
米の糖質だけでなく、それ以外の糖質にも注意が必要で、現代の食生活では、パンやパスタ、うどん、ラーメンなど、小麦粉から作られた食品が多く並んでいます。
これらは柔らかく食べやすいため、あまり噛まずに早食いになってしまい、その結果、血糖値が急上昇し、インスリンの過剰分泌や脳への負担が大きくなるのです。
パンを選ぶなら、小麦粉ではなく全粒粉やライ麦を使ったものを選んでいくことで、食物繊維やミネラルも豊富に摂ることができます。
また、昼食の麺類は、うどんやラーメンよりも、そばを選んでいくようにし、そば粉の割合が高いものを選ぶと、血糖値の上昇がゆるやかで、脳と体にやさしい食事になります。
糖質の多い野菜にも気を付ける
糖質制限を意識するとき、主食や甘いお菓子ばかりに目が行きがちですが、実は「野菜や果物」にも注意が必要となり、その判断の目安となるのが「GI値(グリセミック・インデックス)」という指標です。
GI値とは、食品を摂取したときにどれくらい血糖値が上昇するかを数値化したもので、ブドウ糖を100としたときの相対的な数値で示され
一般的に、GI値が高いほど血糖値を急激に上げやすく、インスリンの過剰分泌や体への負担が大きくなるのです。
たとえば、肉や魚、卵、大豆製品、葉物野菜などはGI値が低いため、血糖値を安定させる食材として安心して取り入れられます。
しかし、注意したいのが、調味料や高糖度の野菜、果物、そして芋類や根菜類
特にじゃがいもやにんじん、かぼちゃといった甘みの強い野菜はGI値が高めで、食べ過ぎると血糖値を急上昇させてしまうことがあるのです。
また、バナナやパイナップルなど糖度の高い果物も、摂取のタイミングや量に気をつける必要があります。
さらに、砂糖やみりん、ケチャップなどの調味料も知らないうちに糖質を多く含んでいるため、毎日の調理での使い方に注意が必要で、少量でも積み重なることで血糖のバランスを崩す可能性を持っています。
脳の健康を守るためには、血糖値の急激な上下を避けることが基本になり、GI値を意識して食材を選び、血糖値のコントロールをすることが、脳への負担を軽減し、老化や認知症のリスクを防ぐ食事につながります。
油を味方に変えていく
脂質というと「太る」「健康に悪い」というイメージを持たれがちですが、実は脂質は私たちの体にとって欠かせない重要な栄養素のひとつ
脂質は、細胞膜の材料になったり、ホルモンの合成を助けたり、脳や神経の働きを正常に保ったりと、多くの生命活動に関与しています。
特に脳は、約60%が脂質で構成されているともいわれ、良質な脂質を摂ることが、脳の健康維持に直結しているのです。
しかし、現代の食生活では、脂質の「質」が大きな問題になっています。
加工食品や外食、スナック菓子、ファストフードなどに多く含まれるトランス脂肪酸や、過剰に摂られるオメガ6系脂肪酸(リノール酸など)は、体に慢性的な炎症を引き起こしやすく、脳にも悪影響を及ぼします。
これらの脂質は血液をドロドロにし、血管を傷つけ、認知症や脳梗塞のリスクを高める可能性も指摘されているのです。
そこで重要なのが、脂質を“敵”ではなく“味方”に変えていき、炎症を抑え脳の働きをサポートしてくれる良質な脂質を積極的に取り入れることを意識し、その代表になるのが、オメガ3脂肪酸とオレイン酸です。
オメガ3脂肪酸には、植物性の「α-リノレン酸」と、魚に豊富な「EPA」「DHA」があり、α-リノレン酸はエゴマ油や亜麻仁油に多く含まれ、体内でDHAやEPAに一部変換されて働きます。
これらの脂肪酸は、脳の神経細胞を保護し、炎症を抑え、血流を改善する働きをもたらし、青魚(サバ、イワシ、サンマなど)を積極的に食べたり、サラダにエゴマ油や亜麻仁油をかけていきましょう。
一方、オレイン酸は、オリーブオイルに多く含まれる一価不飽和脂肪酸で、抗酸化作用に優れ、悪玉コレステロールを下げて血管の健康を保つ働きをもたらしてくれます。
特に「エキストラバージン・オリーブオイル」は、オレイン酸に加え、ポリフェノールやビタミンEなどの抗酸化成分も豊富で、脳の老化を防ぐ力が期待されているのです。
さらに注目したいのが中鎖脂肪酸(MCT)、これはココナッツオイルやMCTオイルに含まれており、消化吸収が早く、エネルギーとして素早く使われる特徴があります。
MCTオイルは、脳のエネルギー源となる「ケトン体」の産生を促進し、認知機能の改善や脳の活性化に効果があるとされているのです。
脳に毒を作らない、炎症を生まない食生活には、良質な脂質を意識的に取り入れることが重要になり、オメガ3脂肪酸やオレイン酸、中鎖脂肪酸といった“脳によい脂”を選ぶことで、脂質は危険なものではなく、むしろ脳を若々しく保つ強力な味方になってくれます。
脂質を脳のエネルギーに変える
糖質を控え、良質な脂質を積極的にとることで、脳のエネルギー源を「糖」から「脂肪」に切り替えることができます。
この状態を「ケトン体質」と言い、脂質が分解されてできるケトン体が、ブドウ糖に代わって脳の栄養源として活躍してくれます。
特に、糖質の摂取量が多い現代の食生活では、血糖値の乱高下やインスリンの過剰分泌によって脳が疲れやすくなっているため、このエネルギーの切り替えは非常に有効です。
ケトン体を効率よく作るための脂質には「MCTオイル」、これは中鎖脂肪酸100%で構成されており、通常の油と比べてすばやく消化・吸収され、肝臓で即座にケトン体へと変換されます。
そのため、朝食や間食にMCTオイルを少量取り入れることで、脳へのエネルギー供給がスムーズになり、集中力や記憶力の向上も期待できます。
また、脂質と聞いて敬遠されがちなバターも、量を守れば優れた栄養源になってくれ
ビタミンA、D、Eといった脂溶性ビタミンを含み、さらに「発酵バター」には乳酸菌が含まれており、腸内環境の改善にもつながってくれ、腸と脳は密接につながっているため、腸内環境を整えることは、脳の毒を減らすためにも重要になっていきます。
トランス脂肪酸とオメガ6に注意
脂質は体にとって必要不可欠な栄養素ですが、すべての油が健康に良いわけではありません。
なかには、摂りすぎたり、質の悪いものを選んでしまうと、かえって体に害を及ぼす油も存在し、注意すべきなのが、「トランス脂肪酸」と「オメガ6脂肪酸」の過剰摂取です。
トランス脂肪酸は、植物油を高温処理したり、水素を添加して加工する過程で生まれる人工的な油脂になり、マーガリン、ショートニング、スナック菓子、パンや洋菓子の一部などに含まれています。
トランス脂肪酸は、LDL(悪玉)コレステロールを増やし、HDL(善玉)コレステロールを減らすことで、動脈硬化や心筋梗塞のリスクを高めるとされており、アメリカやヨーロッパの多くの国では使用規制が始まっている場所もあるのです。
日本では完全に規制されていないため、私たち自身が食品表示を確認し、意識して避ける必要があります。
また、注意が必要なのが、サラダ油やコーン油、大豆油などに多く含まれる「オメガ6系脂肪酸」
これらはもともと必須脂肪酸であり、体に必要な成分ではありますが、現代の食生活では摂取量が過剰になりやすい傾向にあり
オメガ6を摂りすぎると、体内で炎症を引き起こす物質が作られやすくなり、動脈硬化や高血圧、さらにはアレルギーや自己免疫疾患などのリスクを高めてしまうのです。
トランス脂肪酸や過剰なオメガ6脂肪酸は、加工食品や外食に多く含まれ、安価で使いやすいため、知らず知らずのうちに私たちの食卓に入り込んでいるので注意をしましょう。
調理方法でも老化物質が発生
料理の仕方ひとつで、体内の老化を進める物質「AGEs(終末糖化産物)」が多く発生してしまいます。
AGEsは、糖とタンパク質が高温で加熱されることにより変質してできる物質で、体内に蓄積すると細胞や血管にダメージを与え、老化や認知機能の低下、生活習慣病の原因になるとされています。
注意したいのが、料理の「焦げ」や「焼き色」、黒く焦げた部分は、まさに目に見えるAGEsそのもので、トーストの焼き目や揚げ物のこんがりした茶色い衣なども、AGEsが多く含まれているサインといえます。
こうした調理法を毎日のように繰り返していると、知らず知らずのうちにAGEsを体に取り込んでしまい、脳や体の老化を加速させてしまうのです。
そこで見直したいのが調理方法で、「生」「ゆでる」「蒸す」「煮る」といった低温・短時間の加熱調理は、AGEsの発生が少ないため、体にやさしい選択肢となります。
たとえば、生野菜のサラダにはAGEsがほとんど含まれず、腸内環境の改善や抗酸化作用も期待できます。
また揚げ物や焼き物を食べたいときには、仕上げにレモン果汁やお酢をかけることで、AGEsの吸収を軽減することができるので積極的に使用していきましょう。
お肉は赤身肉を食べていく
牛肉や豚肉、鶏肉といった肉類は、私たちの体にとってとても大切なタンパク源になります。
とくにシニア世代では、食が細くなりがちなうえに、消化力や吸収力も低下しやすくなるため、意識して毎日取り入れていきたい食材のひとつになるのです。
肉類に含まれる良質なタンパク質は、筋肉や内臓、免疫細胞、ホルモン、酵素など、体を構成するあらゆる部分の材料となります。
また、肉類にはタンパク質だけでなく、現代人に不足しがちな栄養素も多く含まれており、代表的なのが「ヘム鉄」と「亜鉛」です。
ヘム鉄は、体に吸収されやすい鉄の形であり、貧血予防や脳の酸素供給に役立ち、亜鉛は免疫力を保つほか、味覚や皮膚の健康、傷の修復にも欠かせないミネラル
これらの栄養素は植物性食品には含まれていても吸収率が低いため、動物性食品からしっかり摂ることが効果的になるのです。
特に赤身肉は、脂肪分が控えめでありながらタンパク質やミネラルが豊富なため、健康的に栄養を補うのに適しています。
筋力の低下は転倒や骨折のリスクを高めるだけでなく、外出や活動意欲の低下を引き起こし、運動不足や孤立を招くきっかけにもなってしまいます。
肉をしっかり食べることは、体を動かす力を維持し、病気の予防や心の健康にもつながるので、積極的に赤身肉を取り入れ、元気な体を支えていきましょう。
人工甘味料を避けていく
糖質制限や血糖値のコントロールを意識していても、日常的に使っている調味料や飲み物の中に「見えない糖」が潜んでいることがあります。
ジュースやドレッシング、タレ、加工食品などに多く含まれる「果糖ブドウ糖液糖」、これは、とうもろこしなどのでんぷんから作られた高甘味の糖分で、安価で使いやすいため、様々な製品に使用されています。
しかし、この果糖ブドウ糖液糖は体内で急激に吸収され、血糖値を一気に上昇させる原因にもなり、せっかく糖質を制限していても、こうした“隠れ糖質”を摂っていては、本末転倒になってしまうのです。
最近では「人工甘味料」の使用も増えており、これらも健康への影響が懸念されています。
アセスルファムK、スクラロース、アスパルテームといった人工甘味料は、カロリーゼロや糖質ゼロをうたいながらも、脳の味覚中枢を刺激して甘味への依存を高めたり、腸内環境を乱す可能性が指摘されているのです。
一部の研究では、人工甘味料がインスリンの反応を変え、かえって血糖コントロールを悪化させるリスクも示唆されています。
甘味をどう摂る場合は、自然な甘味を使った代替調味料を取り入れるのがおすすめになり、たとえば、「オリゴ糖」は腸内の善玉菌を育てる働きがあり、血糖値の上昇も緩やかに
また、「甘酒」や「塩麹」などの発酵食品には自然な甘味があり、栄養素も豊富で、体に優しい選択肢になります。
これらは料理の味付けにも使いやすく、日常の中で自然と糖質を抑えながら、脳に負担をかけない食生活を実現できるのです。
見えない糖や人工甘味料は、知らず知らずのうちに脳や体にダメージを与える可能性があり、脳の毒をためない食事習慣になりますが、甘味を完全に断つのではなく賢く選んで、脳にやさしい生活を心がけていきましょう。
グルテンが腸に炎症を招く
グルテンとは、小麦・大麦・ライ麦などの穀物に含まれるタンパク質の一種で、パンやパスタ、うどん、ラーメン、菓子類など多くの食品に使われています。
パンや麺類のもちもちとした食感は、このグルテンによって生み出されており、近年このグルテンが健康に悪影響を及ぼすとして注目され、体質によっては深刻な炎症や不調を引き起こす原因となっているのです。
まず代表的なのが「セリアック病」、これは自己免疫疾患の一種で、グルテンを摂取すると小腸の粘膜が傷つき、栄養の吸収障害や慢性的な炎症を引き起こします。
欧米ではセリアック病の患者数が年々増加しており、今や100人に1人が該当するとも言われ、日本ではまだ一般的に知られていませんが、潜在的に症状を持つ人は少なくないと考えられています。
次に「グルテン不耐症」や「グルテン過敏症」、これらは明確な免疫異常は確認されないものの、グルテンを摂取することで体に不調が起こる状態を指し
症状としては、集中力の低下、頭がぼんやりする「ブレインフォグ」、腹痛、下痢や便秘、ガスがたまるなどの消化器症状が多く、日常生活に支障をきたすこともあります。
小麦による反応は「即時型」と「遅延型」の2種類が存在しています。
即時型は食後すぐに症状が出るため分かりやすいのですが、遅延型は食後数時間から数日後に症状が現れるため、原因が小麦であると気づきにくいのが特徴
そのため、グルテンを摂り続けているうちに、知らない間に腸に炎症が蓄積し、慢性疲労や肌荒れ、免疫力の低下につながってしまうこともあります。
グルテンが体に合わないまま摂取を続けると、腸の粘膜にダメージを与え、リーキーガット(腸漏れ)の原因にもつながってしまいます。
腸の炎症はやがて全身に波及し、脳にも悪影響を及ぼし、集中力が続かない、慢性的な不調が続く人は、グルテンを一時的に控える「グルテンフリーチャレンジ」を試してみるのもよいでしょう。
体調が大きく改善される場合は、グルテンの炎症作用に体が反応している可能性が高いといえるのです。
グルテンはすべての人に悪いわけではありませんが、体質によっては腸や脳に大きな負担となることがあるので注意が必要になります。
乳製品が毒に変わる人も
牛乳は、カルシウムやタンパク質を豊富に含む優秀な食品として、現代でも多くの人に親しまれて飲まれています。
特に、骨の健康を保つうえで重要な栄養素が多く含まれているため、骨粗鬆症の予防や成長期の子ども、高齢者の栄養補給としても広く推奨をされているのです。
しかし、すべての人にとって牛乳が「体に良い」とは限らず、一部の人にとっては、むしろ体調を崩す原因、すなわち“毒”のような存在になることもあり、その症状が「乳糖不耐症」になります。
乳糖不耐症とは、牛乳に含まれる「乳糖(ラクトース)」という糖質を分解する酵素(ラクターゼ)が不足しているため、乳糖をうまく消化できず、腹痛や下痢、ガス、膨満感などの症状を引き起こす状態を指しています。
実はこの乳糖不耐症は、日本人を含むアジア系の人々に非常に多く見られ、成人の半数以上が程度の差こそあれ該当するといわれているのです。
そのため、「牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする」「体がだるくなる」と感じる人は、知らず知らずのうちに乳糖不耐症の影響を受けている可能性が高く
また、牛乳には「カゼイン」と呼ばれるタンパク質が含まれており、このカゼインに対してアレルギー反応や過敏反応を示す人もいます。
アレルギーのように強い反応が出なくても、慢性的な炎症や不調の原因になることもあり、カゼインに対する抗体を持っている人は、牛乳を摂取するたびに体の免疫系が反応し、腸や脳に悪影響を及ぼす可能性があるのです。
こうした状態に気づかず、毎朝パンと牛乳をセットで食べていることで、腸内環境が悪化したり、慢性的な疲労感や肌荒れ、集中力の低下などの不調に悩まされるケースも少なくありません。
「牛乳=健康に良い」というイメージは強いものの、体質や遺伝的背景によっては、体に合わない場合もあり、体に不調がある場合は、牛乳を一定期間控えてみることで変化を観察してみましょう。
代わりに、豆乳、アーモンドミルク、オーツミルクなどの植物性ミルクを取り入れていき、これらは乳糖を含まず、カゼインも含まれていないため、牛乳に敏感な人でも安心して利用できる代替品です。
乳製品は体に良い場合もあれば、人によっては“毒”に変わるので、自分の体の反応にしっかり耳を傾け、無理に摂らず、合わないと感じたらやめる勇気も大切になっていきます。
脳の毒を食事で排出していこう
現代の食生活では、知らず知らずのうちに脳に「毒」が溜まっていきます。
食品添加物、過剰な糖質、悪質な油、腸内環境の乱れてしまい、これらが脳の働きを鈍らせ、老化や病気の原因に変わっていくのです。
こうした毒を体の外へ追い出すために、毎日の食事でできるシンプルで効果的な方法を実践して若い脳を作っていきましょう。
食べ物で少しずつ脳の毒を出す
私たちは日々の生活のなかで、知らず知らずのうちに「毒素」を取り込んでいます。
空気中の排気ガス、飲み水に含まれる重金属、農薬の残留する野菜、食品添加物を多く含む加工食品など、現代社会では避けきれないものも少なくないのです。
特に水銀、カドミウム、ヒ素、鉛といった重金属は、体に蓄積されやすく、肝臓や腎臓だけでなく、脳にも悪影響を与えることがわかっており
これらの毒素は神経細胞にダメージを与え、思考力や記憶力の低下、慢性的な疲労感、さらには認知症のリスクを高める要因にもなり得るのです。
しかし、体に入った毒素をただ嘆いても始まりません、私たちの体には「解毒(デトックス)」というすばらしい働きが備わっています。
その力を引き出し、サポートする鍵が「食事」になり、食べ物を選び、食べ方を工夫することで、体内に溜まった毒を少しずつ排出していくことが可能になるのです。
まず意識したいのが、なるべく「加工食品を避ける」こと、加工食品には保存料や着色料、人工甘味料、乳化剤などの添加物が多く含まれており、これらが肝臓や腸に負担をかけ、解毒機能を低下させることがあります。
毎日の食事で、できるだけ自然な素材を選び、手作りのシンプルな料理を心がけることで、体への負担を減らすことができるのです。
さらに、毒素の排出に役立つ栄養素も積極的に摂っていきましょう。
たとえば、ブロッコリーやキャベツ、玉ねぎなどに含まれる「硫黄化合物」は、肝臓の解毒酵素を活性化させてくれます。
また、海藻や味噌などに含まれる「アルギン酸」や「発酵食品」は、腸内の有害物質を吸着して体外へ排出する働きを助けてくれ、水溶性食物繊維も毒素を絡め取り、便として排出を促進するのです。
脳を動かすのはブドウ糖だけでない
「脳を動かすのはブドウ糖だけ」と思われがちですが、実は脳の健やかな働きには、さまざまな栄養素が深く関わっています。
その中でも注目したいのが「ビタミンD」の存在になり、ビタミンDは骨の健康に必要な栄養素としてよく知られていますが、実は脳の神経細胞の働きにも欠かせない役割を果たしています。
脳内では、神経細胞と神経細胞をつなぐ「シナプス」が、情報を伝える重要な通路として働き、このシナプスは体の他の細胞と同様に、日々ダメージを受けたり古くなったりしながら、新しく生まれ変わっています。
しかし、ビタミンDが不足していると、新しいシナプスを十分に作ることができず、脳の情報伝達の効率が下がってしまい、ビタミンDが足りない状態では、集中力や記憶力、判断力が低下しやすくなり、脳の老化を早める可能性があります。
さらに、ビタミンDはメンタルの安定にも深く関与し、不安感やうつ症状との関連も指摘されており、気分の波が激しい人や冬季うつになりやすい人は、ビタミンDの不足が原因の一つかもしれません。
加えて、ビタミンDは「炎症を抑える遺伝子」や「腫瘍の発生を抑制する遺伝子」にも働きかけることがわかっており、全身の健康を守る要となる栄養素でもあるのです。
ビタミンDを摂る方法は大きく分けて三つあり、まずは食事から魚類(特にサバ、イワシ、サンマなどの青魚)や、干し椎茸、きくらげなどのキノコ類に多く含まれています。
次に日光浴、ビタミンDは皮膚に紫外線が当たることで体内でも合成されるため、1日15〜30分程度、腕や顔を日に当てることが推奨されます。
そして、三つ目が運動となり、ウォーキングや軽い筋トレなどで筋肉を使うと、シナプスの再生や神経の働きが活性化され、ビタミンDの働きも高まっていきます。
ホモシステインの事を知る
ホモシステインとは、脳と体の健康を守るうえで、注目すべき重要な指標のひとつになります。
これは、必須アミノ酸である「メチオニン」が体内で代謝される過程で生じる中間産物で、通常は肝臓で無害な物質へと変換されるため、体内に溜まることはないのですが
何らかの理由で代謝がうまくいかなくなると、血中のホモシステイン濃度が上昇し、さまざまな健康トラブルを引き起こす原因となるのです。
ホモシステインの値が高いということは、脳に栄養が行き届いていなかったり、慢性的な炎症が起きているサインである可能性があり、近年の研究では、ホモシステインの過剰が脳の神経細胞を傷つけ、アルツハイマー病の発症リスクを高めることが示されています。
さらに、血管の内皮細胞を攻撃する作用もあるため、動脈硬化を進行させ、心臓病や脳卒中などの心血管疾患のリスクも増大してしまうのです。
つまり、ホモシステイン値が高い状態を放置することは、脳にも血管にも大きなダメージを与えるリスクがあり、この値を適切に保つことは、老化予防・認知症予防・脳の若さを維持するうえで、極めて重要なテーマとなります。
では、どうすればホモシステインの数値を下げるのがビタミンB群の存在で、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸は、ホモシステインの代謝をスムーズにし、無害な形に変えるために不可欠な栄養素になるのです。
ビタミンB6は、にんにく、まぐろ、バナナなどに多く含まれ、ビタミンB12は魚介類やレバーに豊富に含まれています
葉酸は緑黄色野菜、ほうれん草やブロッコリー、アスパラガスに含まれているので、これらをバランスよく日々の食事に取り入れていき、ホモシステイン値を下げ、脳の健康を維持、守っていきましょう。
食物繊維で腸を綺麗に
食物繊維は、腸内環境を整え便通を促すだけでなく、体に溜まった毒素を排出するために欠かせない栄養素
現代人は加齢や食生活の偏り、運動不足などの影響で腸の働きが鈍くなり、便秘がちになる傾向があります。
こうした状態が続くと、腸内に有害物質がとどまり、再吸収されるリスクが高まり、全身の不調につながるのです。
そこで、食物繊維を意識的に取り入れ、腸内の“お掃除”をすることが、健康を守る第一歩になっていきます。
食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、どちらも大腸の働きをサポートするのに役立ちますが、それぞれに異なる特徴があります。
水溶性食物繊維は、水に溶けるとゲル状になり腸内をゆっくり移動しながら便を柔らかくしてくれるのです。
めかぶや昆布などのネバネバ食品に含まれる水溶性食物繊維は、腸に長くとどまり、腸内で固くなった便をやさしくほぐし、スムーズな排出を促してくれ、シニア層に多い便秘の改善にもつながります。
一方、不溶性食物繊維は水に溶けずに便のかさを増やし、大腸を刺激してぜん動運動を活発にし、野菜、豆類、穀物などに多く含まれ、腸の筋肉をしっかりと動かす役割があります。
この2つの食物繊維をバランスよく摂ることで腸が活性化し、便が自然に、そして、気持ちよく出るようになります。
さらに、食物繊維は腸内の善玉菌のエサにもなり、腸内フローラを整える重要な役割も担っており
善玉菌が増えることで、腸内の腐敗菌や悪玉菌が減少し、アンモニアなどの有毒ガスの発生を抑制、このことにより、腸内での炎症や毒素の再吸収が防がれ、全身の健康状態も改善されていくのです。
加えて食物繊維には、ナトリウムの排出を促す働きがあるため、高血圧の予防にも役立ちます。
余分なコレステロールも吸着し、体外に排出する作用もあるため、動脈硬化や心疾患のリスクを減らすのにも効果的、さらに、腸の働きが良くなることで、肝臓や腎臓の機能も高まり、全身の解毒力がアップしていくのです。
亜鉛の効果で水銀を鉛を弱体化
亜鉛は、私たちの体の中で数百以上の酵素の働きを支える、非常に重要なミネラルの一つです。
もし、最近「傷が治りにくい」「肌の乾燥がなかなか改善しない」「味覚が鈍くなった気がする」そんな症状を感じている場合、亜鉛不足が関係しているかもしれません。
特に甘さや塩味の強さが感じにくくなったときは、味覚障害の初期サインとも考えられています。
亜鉛は、細胞分裂や再生に必要不可欠な栄養素で、体のあらゆる組織の修復に関与し、新しい皮膚細胞や内臓の粘膜細胞、そして脳の神経細胞にも、常に亜鉛の助けが必要になるのです。
とくに、脳においては神経伝達の調整や記憶力の保持、精神の安定などにも深く関わっているため、亜鉛が不足すると、精神的な不調や集中力の低下、イライラなどの症状が現れることもあります。
加えて、近年注目されているのが、亜鉛が持つ「重金属のデトックス効果」、現代の生活環境では、知らず知らずのうちに水銀や鉛といった有害な金属を体内に取り込んでしまうことも
水銀は一部の魚介類や古い医療用具、鉛は塗料や水道管、喫煙、排気ガスなどが主な原因となり、これらの重金属は体内に蓄積しやすく、特に脳や神経に悪影響を及ぼすことが知られています。
このような有害金属の毒性を弱め、体の外へ排出するのに役立つのが亜鉛となり、亜鉛は、水銀や鉛といった重金属と結びついて、それらの吸収を防ぎ、解毒の過程で無毒化を促進する働きがあるのです。
つまり、脳や体に悪影響を及ぼす毒素の排出を助ける“影の立役者”とも言え、そんな亜鉛を豊富に含む食品の代表格が「牡蠣」になります。
牡蠣は、“海のミルク”と呼ばれるほど栄養豊富で、特に冬場にはその含有量が増加、牡蠣以外にも、赤身の肉、レバー、納豆、ナッツ類、卵黄などにも含まれ、これらを食事にバランスよく取り入れることが、亜鉛の補給に効果的になるのです。
ただし、亜鉛は単体では吸収効率があまり良くないため、「鉄分」と一緒に摂るのが重要になり、鉄分も血液や代謝に必要な栄養素、相互に補完し合うことで、効率よく体内に吸収されやすくなります。
世界では20億人以上が亜鉛不足と言われており、日本でも高齢者や偏食傾向のある人に不足しやすい栄養素なので、毎日の食事で意識して摂ることで、脳の老化を防ぎ、重金属の害から体を守る手助けになります。
カレーはスパイスカレーを
カレーは私たちにとってなじみ深い料理ですが、脳の健康を考えるなら「スパイスから作るカレー」がおすすめになります。
市販のルーには小麦粉や脂質、添加物が多く含まれており、知らず知らずのうちに体に負担をかけていることもあるのです。
その反面、スパイスを自分で組み合わせて作るスパイスカレーは、余分な添加物を避けられるだけでなく、使用するスパイスの健康効果をしっかりと活かせるのが大きな魅力
とくに注目したいのが「ターメリック」、ウコンとして知られるこのスパイスには、「クルクミン」という強力な抗酸化成分が含まれています。
クルクミンは、脳内の神経細胞の成長を促す「脳由来神経栄養因子(BDNF)」を増やす働きがあり、記憶力や集中力、認知機能の維持に役立ってくれるのです。
年齢とともに減少しがちなこの因子をサポートするためにも、定期的にターメリックを取り入れることは非常に効果的
さらに、クルクミンと相性が良いのが「オメガ3脂肪酸」、オメガ3は脳細胞の膜を構成する大切な脂質であり、不足すると神経伝達がスムーズにいかなくなってしまいます。
クルクミンと一緒に摂ることで、脳内の炎症を抑え、神経機能を高める相乗効果が期待でき、おすすめになるのが「サバ缶入りスパイスカレー」
サバ缶にはDHAやEPAといったオメガ3脂肪酸が豊富に含まれており、クルクミンとの組み合わせで脳を栄養づける理想的な一品となります。
また、カレーに添えるサラダにも一工夫していき、ドレッシングの代わりに「亜麻仁油」や「エゴマ油」を使えば、こちらもオメガ3をしっかり補えます。
野菜の酵素と合わせて摂ることで、脂肪酸の吸収も高まり、腸内環境の改善にもつながり、食事で脳に刺激を与え、しっかりと栄養を届けるスパイスカレーは、まさに“脳のごちそう”なのです。
小腹が減ったらナッツを用いる
小腹がすいたとき手が伸びるおやつ、その選択を見直すだけで、脳の健康が大きく変わります。
糖質制限や主食を少量に抑える食事スタイルでは、脳がブドウ糖に依存しにくくなり、次第に「おやつが欲しい」と感じる頻度も減少
しかし、それでも日常生活の中で空腹になる瞬間は誰にでも訪れ、そのときに注意したいのが「何を口にするか」になるのです。
例えば、空腹時にチョコレートや菓子パンなどの砂糖を多く含む食品を食べると、血糖値が一気に上昇し、その後急激に下がる「血糖値スパイク」が起こります。
これが繰り返されると、脳の神経細胞にダメージを与え、集中力の低下やイライラ、疲労感、さらには認知機能の低下にもつながっていくので、空腹時の“間違ったおやつ”は、脳にとって毒にもなり得るのです。
そこで「ナッツ類」、ナッツには良質な脂質が豊富に含まれており、特にオメガ3脂肪酸やオレイン酸など、脳の炎症を抑えたり神経の働きをサポートする栄養素が豊富
また、食物繊維も含まれ、腸内環境を整える作用もあり、便通を改善しながら毒素の排出を助ける働きも持っています。
さらに注目したいのは、ナッツに含まれるミネラル、マグネシウム、亜鉛、鉄、セレンなど、現代人に不足しがちな微量栄養素が自然な形で摂れるのも、ナッツならではの魅力です。
「ブラジルナッツ」には、セレンというミネラルが豊富で、このセレンには水銀を解毒する働きがあるので、水銀は現代の生活の中で魚介類や環境汚染を通して知らずに体に蓄積しがちな有害物質であり、その除去にはセレンが非常に重要な役割を果たしてくれます。
また、ナッツは硬いため、自然とよく噛んで食べるようになり「よく噛む」行為は、満腹中枢を刺激し、食べ過ぎを防ぐだけでなく、脳への血流を増やして活性化させる作用をもたらします。
噛むことによって唾液の分泌も促進され、消化吸収を助けるだけでなく、口腔内の清潔も保たれます。
ナッツをおやつとして取り入れる際は、無塩・無油・無添加のものを選びましょう。
アーモンド、くるみ、カシューナッツ、マカダミアナッツ、ピスタチオなど、種類を変えて楽しめますが、ナッツはカロリーが高めなので、一日あたり小さなひとつかみ(20〜30g)を目安にするのが適量です。
果物で不足する栄養を補給する
果物は「甘いから太る」「糖質が多いから控えたほうがよい」と誤解されがちですが、実は脳と体の健康を保つために欠かせない栄養素が多く含まれている重要な食品
確かに果物には果糖(フルクトース)という糖質が含まれていますが、それと同時に、糖の吸収を緩やかにする「食物繊維」も豊富に含まれており、血糖値の急上昇を防ぐ働きをしてくれます。
注目したいのが「ビタミンC」の存在で、ビタミンCは抗酸化ビタミンとして細胞の老化を防ぎ、ストレスへの抵抗力を高め、免疫力をサポートするほか、「コラーゲン」の生成に欠かせない栄養素でもあるのです。
肌や血管、脳を構成する細胞の健全性を保つためにも、ビタミンCの摂取は非常に重要で、キウイや柑橘類、イチゴなどは、手軽にビタミンCが摂れる果物としておすすめになります。
さらに、果物のもうひとつの魅力は「ファイトケミカル」と呼ばれる植物性機能成分
例えばブルーベリーに含まれるアントシアニンや、ブドウのポリフェノール、リンゴのケルセチンなど、果物それぞれに独自の抗酸化物質が含まれています。
これらの成分は、活性酸素を除去し、脳細胞や血管の老化を防ぐとともに、炎症を抑える役割も果たしてくれます。
また、果物には水分と食物繊維が豊富に含まれているため、腸内の老廃物の排出を助け、便通を改善する効果も期待でき、シニア世代は、排便をスムーズにすることが脳や体に毒素を溜めないための重要な習慣になるのです。
ハイカカオで甘さを補給
甘いものが欲しくなったとき、脳と体にやさしい選択としておすすめなのが「ハイカカオチョコレート」、カカオ分70%以上のものは、糖分が控えめで豊富な栄養素と機能性を兼ね備えています。
ハイカカオチョコレートに多く含まれる「カカオポリフェノール」は、非常に優れた抗酸化作用を持ち、体内で発生する活性酸素を除去、細胞の老化や炎症を防いでくれるのです。
これは脳の健康維持にも効果的で、神経細胞の酸化ストレスを抑えることで、記憶力や集中力の維持にも役立つとされています。
また、カカオポリフェノールは吸収率が高く、摂取してすぐに体内で働き始めるのも特徴になるのです。
さらに、悪玉コレステロール(LDL)の酸化を防ぐことで、動脈硬化や心血管疾患の予防にも貢献するといわれ、これは脳卒中などのリスクを下げる意味でも重要なポイントになります。
ハイカカオチョコレートには、ビタミンやミネラルも豊富に含まれ、注目したいのが、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛といったミネラル成分です。
これらは神経の伝達、骨や筋肉の健康、免疫機能のサポートなど、さまざまな場面で欠かせない役割を果たしてくれます。
また、甘味を抑えているため血糖値の上昇も緩やかで、砂糖たっぷりのお菓子とは違い、食べても罪悪感が少なく安心して楽しめます。
チョコレートが苦手な方や、もう少しバリエーションが欲しい方は、カカオ100%のピュアな「ココアパウダー」を使ってヨーグルトに混ぜたり、豆乳と合わせてドリンクにして味わっていきましょう。
まとめ:今日から脳の毒を出していこう
現代人の脳は、日々の生活の中で知らず知らずのうちに多くの「毒」をため込んでいます。
加工食品、添加物、人工甘味料、悪質な脂質、環境ホルモン、重金属などが蓄積されると、思考力や集中力、記憶力が低下し、最終的には認知症などのリスクを高めてしまうのです。
さらに、脳に炎症が起きたり、ホルモンバランスが崩れたりすることで、体全体にも不調が現れるようになり、脳を守るには「毒を入れない」「毒をためない」「毒を出す」ための食事術がとても重要になっていきます。
まず、「毒を入れない」ためには、精製された糖質の摂取を減らし、白米を玄米に、小麦粉製品を全粒粉やそばに置き換える工夫が大切になり
トランス脂肪酸やオメガ6脂肪酸の過剰摂取にも注意し、代わりにオメガ3脂肪酸やオレイン酸を含む油を積極的に摂り入れ、調理法にも気を配り、高温調理よりも「蒸す・煮る・茹でる・生」を選ぶことがAGEsの発生を抑制できるのです。
次に、「毒をためない」ためには、腸の環境を整えることが不可欠で、食物繊維や発酵食品、オリゴ糖を含む食品を摂ることで腸内フローラを整え、腸からの毒素の侵入を防いでくれます。
また、腸や血管を傷つける恐れのあるグルテンや乳製品も、人によっては炎症を引き起こすため、体質に合わない場合は控える工夫をしましょう。
そして「毒を出す」ためには、デトックス作用をもつ栄養素を意識して取り入れることが効果的になります。
例えば、亜鉛は水銀や鉛の排出に役立ち、葉酸やビタミンB群はホモシステインの代謝に必要不可欠で、脳の栄養として重要なビタミンDやカカオポリフェノール、魚に含まれるDHA・EPAなども毎日の食事で積極的に取り入れましょう。
空腹時のおやつには、ナッツ類を用いて、良質な脂質とミネラルを補い、甘いものが欲しいときは、ハイカカオチョコレートで満足感を得つつ、抗酸化物質も補給できます。
果物からは、ビタミンCやファイトケミカルを摂り、腸内を整えて便通を促進し、毒素の排出をサポートしてくれるのです。
これらの小さな習慣を重ねることが、脳の健康寿命を延ばし、老化や病気を遠ざける最善の方法になり、食事は毎日の積み重ね。脳のために今日から一歩ずつ、「毒を出す食事」を始めていきましょう。
最後まで見ていただきありがとうございました。
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